沖縄の最低賃金39円引き上げ目安 労働側「さらに上積みを」 県内企業、負荷さらに重く 価格転嫁なお不十分


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 中央最低賃金審議会が正式決定した2023年度の最低賃金(最賃)引き上げの目安額で、沖縄は過去最大となる39円が目安とされた。県内企業からは「資源や原材料高騰を十分に価格転嫁できていない状況の中、賃上げでさらに厳しさが増す」と不安視する声が上がる一方、労働団体からは「生活を守るためさらなる上積みが必要だ」との声が上がった。

 沖縄経済同友会の渕辺美紀代表幹事は、全国の引き上げ率が4・3%であるのに対し沖縄が4・6%であることに着目。「中小・零細企業を多く抱える沖縄では、企業への負担が大きくなる」と分析した。物価高騰や円安などの影響で経営環境は厳しいとして「消費者の皆さんにも価格転嫁への理解をお願いしたい」と訴えた。

 「短期のアルバイトでも人が集まらない。人材不足解消のために賃金を上げるという考え方は当然だ」。県工業連合会の古波津昇会長は賃上げに理解を示す。その上で「人件費を確保するためには商品の価格を上げなければならない」と述べ、価格転嫁は避けられないとの見方を示した。

 労働者側からは上げ幅に不満が漏れる。連合沖縄の仲宗根哲会長は、全国的な額と比較した県の賃金について「39円という引き上げ額でもまだ足りない。(沖縄が)Cランクに位置付けられていることが残念だ」と話した。

 「コスト高などの事情もあり企業としても人件費を確保するのが難しい現実もある。中小企業がしっかり稼げる力を付けられるような支援を行政が進めるべきだ」と求めた。

(與那覇智早、普天間伊織)