願うは「雨」 サトウキビ、少雨で生育に遅れ 北大東島の降水量、平年のわずか3割


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 【北大東】記録的な少雨が続く南北大東島。北大東島では基幹作物サトウキビの生育が遅れており、12月に始まる来期収穫量の大幅減が懸念される。島のサトウキビ栽培を支援する北大東製糖の事業本部長・吉原徹さん(57)は来期収穫量について、今期の2万3400トンを約5000トン下回る「1万8000トン程度と見込んでいる」と予測する。「これから雨が降って回復すると想定した予測で、少雨が続けばさらに減る恐れもある」と話した。

干ばつにより例年より成長が遅いサトウキビ。畑を見て回る北大東製糖の吉原徹さん=21日、北大東村

 南大東島地方気象台によると、1月1日~7月26日の降水量(速報値)は、南大東島が309・5ミリで平年値(874・0ミリ)の35%にとどまる。北大東は若干多いものの342・0ミリで平年値(805・5ミリ)の42%だ。同気象台は「台風6号が31日から8月1日ごろに大東島地方に接近することが予想される」としており、今後、降水量の回復も予想される。

 北大東島のサトウキビ畑は島全体で約500ヘクタール。土壌にチューブをはわせ、チューブの穴から散水する「点滴灌漑(かんがい)」がほぼ全ての畑に整備されている。水の量を減らす「節水型農業」の一環で、農業用水を雨水だけに頼る同島の実情を表す。

 島内ほぼ全域の農道が舗装されているのも、農道からため池に水を集めるためだ。島内に点在するため池に水がたまると、地域ごとの組合が管理するファームポンドに集められる。そのファームポンドの水量は7月21日時点で2割程度にまで落ちている。

 吉原さんは「例年は梅雨の間にため池を満たすが、ことしは梅雨も雨が少なかった」と話す。さらに「現在の点滴による散水はサトウキビを生かしておくためで、この程度の水では成長できない」とサトウキビの生育には雨が欠かせないことを説明。「雨が降ることを願っている」と話した。

 (岩崎みどり)