夏の夜に週3日、大輪の花を修理する男性たち 「宮城綱曳」継承へ、旗頭を修繕 沖縄・南風原、宮城自治会


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旗頭の頂点につける花飾りの修繕を行う宮城綱曳の頭と小頭たち=7月17日夜、南風原町の宮城自治会

 【南風原】南風原町宮城自治会(玉城雅史区長)は、豊年や繁栄を願って行う宮城綱曳(つなひき)に向けて旗頭の修繕を進めている。長さ6メートルほどの旗頭の先につける大輪の花は和紙で作るため壊れやすい。週3日、夜に集まって修繕するのが、この時期の伝統だ。技術とともに地域への熱い思いも引き継がれている。

 宮城綱曳は、旧暦6月15日にワラビジナ(小綱)、同26日にウフジナ(大綱)を曳く。大綱曳は、新暦に置き換えて日曜に行うため2023年は8月13日の開催だ。新型コロナの流行で2年間中止され、22年は規模を縮小して時期も10月に延ばして行われた。

 実行委員長の玉城区長(64)は「昨年はコロナの影響で縮小などしたが、町内で唯一実施して、区民から喜ばれた。今年は本来の大綱曳を行う。徐々に盛り上がってきているのを感じる」と話した。

 旗頭は東(アガリ)と西(イリ)の2対あり、東は黄色い菊、西は赤い桜の花を模している。修繕作業では、針金の型に裏紙を張り、さらに表紙をつける。その上から塗装する。作業に当たるのは、頭(かしら)と若手の小頭(こがしら)たちだ。頭長の玉城勇さん(70)は「区民を元気づけ、繁栄を願って取り組んでいる。補修は順調だ」と説明する。

 区を挙げた伝統行事だが、頭のなり手が少ないなど課題もある。綱曳を世代を超えた交流の機会として継承するため、自治会は21年9月、「宮城綱曳実行委員会設置要綱」を定めた。頭や小頭の言葉を残しつつ実行委員会と運営委員会の方式を取ることを決めた。

 宮城出身で小頭として作業に加わる比嘉一真さん(45)は「みんな忙しいのか、同じような顔ぶれが集まる」と語る。比嘉さん自身も仕事を終えてから参加する。「この時期だけだから。夏休みに入ったら子どもたちの準備もある。多くの子に参加してもらいたい」と話した。
 (岩崎みどり)