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未明から早朝に16人が行進 宮古島陸自が初の公道での訓練 市民団体の中止要請に応じず


この記事を書いた人 琉球新報社

 【宮古島】陸上自衛隊宮古島駐屯地は4日未明、新隊員教育の徒歩行進訓練を公道で実施した。公道を使った訓練は宮古島市で初めて。同駐屯地に配属された新隊員16人が午前1時に保良訓練場を出発し、城辺海岸を折り返し地点に、約21キロを行進した。市民団体は訓練の中止を求めていた。

 訓練は災害時に道路倒壊などインフラが寸断され、輸送力が制限された状況下を想定し、災害対処に必要となる部隊移動能力の向上を図るのが目的。

 新隊員のほか、指導や安全確保を担う隊員など計35人が訓練に参加した。新隊員は重さ20キロの荷物を背負い、重さ10キロの担架二つを交換で担いだ。公道を行進し、午前6時45分ごろ、保良訓練場に到着した。

「有事あおらないで」 ゲート前で抗議とねぎらいが交錯

21キロを行進し、保良訓練場に戻る新隊員ら=4日午前6時45分ごろ、宮古島市保良

 【宮古島】4日未明から早朝にかけて宮古島市の公道を使って実施された陸上自衛隊宮古島駐屯地の新隊員徒歩行進訓練。午前6時45分ごろ、約21キロを行進して保良訓練場のゲート前に戻ってきた新隊員らを待っていたのは、公道での訓練に反対する市民団体の抗議と、宮古地区自衛隊協力会などのメンバーによる歓迎の声だった。

 同駐屯地によると沖縄本島では、新隊員教育の徒歩行進訓練は那覇訓練場や中部訓練場など、比較的敷地が広い施設内で実施してきた。昨年から新隊員教育を実施してきた同駐屯地では、市内に広い施設がないことから公道での訓練実施に至ったという。

 ゲート前で抗議の声を上げたミサイル・弾薬庫配備反対住民の会の下地博盛共同代表は「この訓練を機に、市全体で陸自の訓練が実施されるのではないかと危惧している」と不安げな表情を浮かべた。

 ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会は訓練の前に記者会見を開き、訓練を中止するよう求めた。同連絡会の仲里成繁共同代表は「国は台湾有事をあおり、市民を犠牲にして軍備の強化を進める。そんな中、公道で徒歩訓練をしたことはショックだった」と語った。

 一方、ゲート前には訓練を肯定的に受け止める市民の姿もあった。宮古地区自衛隊協力会や県自衛隊家族会などのメンバーはのぼり手にしながら、保良訓練場に戻る新隊員らに「お疲れさま」「ありがとう」などの声をかけた。
 (友寄開)