沖縄都市モノレール社が運営する「ゆいレール」が運行を開始して20年。債務超過を抱え難しい経営を続けるが、県民だけでなく観光客にとっても欠かせない乗り物となり、社会インフラとしての地位を高めている。今後の展望などについて渡慶次道俊社長に聞いた。
―20年を振り返って。
「モノレールの議論が出てから数えると約半世紀だ。開業当初は1日3万4千人を目標にしていた。ただ当時はそんなに乗るだろうかというのが、一般的な評価だったように思う。それがしっかりと県民の足として、観光インフラの一つとして定着した。先人の我慢強い思いが結実した」
―右肩上がりだった乗客数が、コロナ禍で失速した。
「コロナ禍前は5万人を超えるところまで来た。思った以上に観光客の利用が増えた。利用割合はおおよそ県民7、観光客3と言われる。コロナで県民もリモートワークとなり激減したが、コロナが明ければ、県民の利用は戻る。さらにインバウンド(訪日客)が全面復活し、新たな需要として乗っかってくると思っている。伸びしろは十分にある」
―県民利用は。
「4駅延伸による成果もコロナ禍もあり当初計画まで至っていない。浦添側には商業地ができる想定をしている。パークエンドライドも利用が伸びていると聞いており、広く認知されつつある。空港までのアクセス拠点として中北部から引き込める駅で、ポテンシャルがあると思っている」
―3両化の期待は。
「乗り残しに大きく貢献する。早朝の一番電車、通勤通学、夕方のラッシュが起こる時間帯に運行し混雑緩和を図る。快適さ、利便性を高めて、定時・定速で大量輸送を可能にする公共交通の評価が高まるだろう」
―依然として債務超過を抱える。課題は。
「債務超過は順調にコロナ禍から回復することを前提に、2027年度の解消を見込んでいる」
「運輸業として利用者の増加に対応できなくなることから生じる課題が大きいが、3両化で車内の混雑は和らぐ。県庁前駅は改札を増やした。今後は那覇空港駅も増設し、駅舎内の快適性向上に努め、駅舎の商業活用も図っていくことで誘客にもつなげたい。時間はかかるがしっかり収益を確保していく」
(聞き手・謝花史哲)