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学校に通っていない子どもと保護者の居場所に フリースペースさくら 無料で公民館や児童館で 沖縄・南城


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カードゲームで遊ぶ子どもたち=7月21日、南城市大里稲嶺の湧稲国公民館

 【南城】学校に通っていない子どもと保護者の居場所づくりに取り組むフリースペースさくらの活動が、南城市大里を中心に市内の公民館や児童館で始まった。7月21日には大里の湧稲国公民館に5~9歳の子ども7人と保護者らが訪れ、ボール遊びやゲームをするなどして過ごした。代表の片山キャサリン沙織さん(37)は「困っている子を大丈夫だよと受け止める居場所づくりが、ほかの市町村にも広がってほしい。学校が全てではないと知ってもらい、まずは親の認識を変えていくことが大切だ」と話した。

 フリースペースさくらは、県内の5~15歳と保護者を対象に、午前10時~午後2時の時間で週2、3回活動している。利用は無料だ。市外から訪れる利用者もおり、子どもたちは自由に過ごし、保護者は子育てや学校に関する情報を交換できる。

 片山さんは5歳と8歳の子どもを、2021年からホームエデュケーションで育てている。不登校児童の学校復帰を支援する市の適応指導教室もあるが、「受け皿がまだまだ足りない。もっと気軽に行ける居場所があった方がいい」と考え、地域の公民館を利用して、昨年12月に活動を始めた。

 片山さんには幼稚園に行けなくなった娘を引っ張って行かせようとした時期もあったという。「大半の親は子どもを立派に育てようとする責任感から、学校に行かない子どもを責めてしまうが、その期間を短くしてほしい」と振り返る。

 南城市玉城在住の女性(45)は、不登校になった中学生の娘の居場所を探す中でフリースペースさくらと出合った。「フリースクールは月3、4万円ほどの費用がかかり経済的に厳しい。ここで当事者の親と会って話すと、同じ境遇の子がいるんだとほっとする」と話す。

 9歳の息子と参加した那覇市の女性(42)は「学校に行けないことを子も親も引け目に感じていたが、ここに来てから子どもが笑顔で過ごせている」と表情を緩ませた。「学校に行くことが当たり前だったが、今は子どもが自分で選択していいと思う」と話した。

 今年1月から利用している児童(8)は「たくさん遊べて、いつも来るのが楽しみ」と笑顔を見せた。

 片山さんは「困っている子が自分の足で歩いて行ける居場所が各市町村にも広がってほしい。子どもが学びを楽しんで、笑って過ごせていれば地域は温かくなる」と語った。フリースペースさくらの活動日程はホームページやSNSで確認できる。問い合わせは電話070(4815)4258(片山)。
 (上江洲仁美)