米ハワイ州のマウイ島で山火事が発生し、多数の死傷者が出ている事態を受け、沖縄県は14日、ハワイには多くの県系人が住むなどつながりが強いことから、公金で見舞金を支出する方針を固めた。また、これから沖縄ハワイ協会が募る義援金についても県として寄付を呼びかける。
玉城デニー知事は14日朝、報道陣に対して「どのような支援の方法があるかについて取りまとめており、サポートができると思う」と述べた。
玉城知事は同日、姉妹都市提携を結んだり、多くの県系人が在住したりするハワイ州のジョシュ・グリーン知事、ハワイ沖縄連合会の小橋川クラリス会長、マウイ郡のリチャード・ビッセン郡長宛てに、メールで見舞状を送付した。
見舞状では「火災がハワイ州の歴史上最大の自然災害となる可能性もあると伺っており、大変心を痛めている。この災害に対して、沖縄県から協力ができることがあったら、何なりと申し出てほしい」と記した。
その上で玉城知事は「ハワイ州と長い交流の歴史を有する沖縄県を代表して、マウイ島の方々のご無事を願うとともに、一日も早い被災地の復旧をお祈りいたします」とつづった。
■ハワイと沖縄と深い交流の歴史
米ハワイ州マウイ島の山火事で、沖縄県が支援策を打ち出す方針を固めた。背景には多くの県系人が暮らし、姉妹都市を締結するなど深い交流の歴史がある。県は過去に、2016年の台湾南部地震と18年の台湾東部地震でそれぞれ100万円を支出したが、今回の見舞金の額は調整中という。18年にハワイ島で世界最大級の活火山キラウエアが噴火した際には見舞状の送付にとどまっていた。
沖縄とハワイは1900年に沖縄県初の海外移民がハワイに到着して以来、交流が続く。海外移民の父・當山久三を含めて沖縄からの移民は増え続け、戦前は2万人もの県民がハワイに移住した。
戦後、地上戦で焼け野原となった沖縄を救おうと、いち早く手を差し伸べたのはハワイの県系人だった。衣類や書籍、文房具などの日用品だけでなく、生きた豚や寄付金が届けられた。豚は食糧難に苦しむ県民を救い、養豚業を復興させ、沖縄の食生活を守った歴史がある。首里城再建に向けてもハワイ沖縄連合会などから県に多くの寄付が寄せられた。
県とハワイ州は85年6月、友好の絆を強化し、文化・産業の交流を一層促進するために姉妹都市提携宣言書に調印した。2014年には、県系3世のデービッド・イゲ氏が県系人として初めて州知事に当選した。現在、米連邦議会下院には県系4世のジル・トクダ氏=民主党=がハワイ州から選出されている。
(梅田正覚)