有料

県内最低賃金、過去最大の43円増で決着 時給896円に 企業の支援強化求める付帯決議も 沖縄地方審議会が答申


この記事を書いた人 琉球新報社
沖縄労働局の西川昌登局長(右)へ、最低賃金を現行より43円引き上げ時給896円とする答申を手渡す審議会の島袋秀勝会長=14日、那覇市おもろまちの那覇第二地方合同庁舎

 沖縄地方最低賃金審議会(島袋秀勝会長)は14日、県内の最低賃金を現行の時給853円から43円引き上げて896円とするよう沖縄労働局の西川昌登局長に答申した。国の中央最低賃金審議会が示した引き上げ目安の39円に比べ4円高くなった。43円増は昨年の33円増を上回り、過去最大の引き上げ幅となる。

 西川局長は「答申を踏まえて今年度の改正手続きを進めたい。付帯決議もいただいた。県内の環境整備にしっかり取り組んでいきたい」と語った。

 沖縄労働局は今後、答申に関する異議申し出を29日まで受け付ける。新たな最低賃金は最短で10月8日から適用される見通し。

 改定額については、労使双方が具体的に議論する専門部会で全会一致とならず、労使双方からの提示額を審議会で採決した。議長(会長)を除く出席委員13人のうち8人が、労働者側が示した896円案に賛成した。使用者側は目安より1円安い38円を引き上げる891円案を提示し、賛成は5人だった。

 答申は、最低賃金を引き上げやすい環境整備のため、中小企業や小規模事業者への国などによる支援強化を要望する付帯決議を付けた。

 島袋会長は原材料価格やエネルギー価格などが上昇する中で、価格転嫁が十分ではない企業環境を踏まえ、国に対し「実効性のある支援の継続と施策の実施を早急にしていただきたい」と述べた。
 (謝花史哲)