名護市辺野古の新基地建設に伴う沖縄防衛局のサンゴ類移植を巡り、県は地方自治の在り方を司法に問うため提訴に踏み切った。一方、県の主張の根拠には最高裁で係争中のものがあり、その判決次第では県の訴えの柱が揺らぐ恐れもある。
県は、防衛局が埋め立て設計変更の承認を得ていないとして「サンゴ類を移植する必要性が認められない」と強調している。県による設計変更不承認を巡る訴訟は、9月にも最高裁で判決が出る可能性がある。
県が敗訴した場合は設計変更が承認され、サンゴ類移植を進めたい防衛局への追い風にもなってしまう。
前回のサンゴ類移植を巡る訴訟は、最高裁判決で県の上告が退けられ敗訴が確定した。だが裁判官5人中2人は、県が移植の許可をしなかった判断に「違法性がない」との反対意見を付け、県にとって明るい要素もあった。
一連の辺野古問題では県の訴えが国や係争委、司法に十分に聞き入れてもらえず、県にとって厳しい状況が続く。しかし県はこれまでと同じく、地方自治の在り方を問い続けていく構えだ。司法には県の訴えに耳を傾ける姿勢も問われる。
今回、焦点となるサンゴ類が群生する大浦湾の軟弱地盤の問題点に司法がどう踏み込むかどうかも注目される。
(金良孝矢)