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辺野古埋め立て土砂、「細粒分」10→40%以下に引き上げ 濁り懸念、市民「県は行政指導を」


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 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に関し、設計変更が必要な大浦湾側の埋め立てに使う土砂を辺野古側に仮置きする計画を巡り、細かい土の割合「細粒分」の含有率が工事の仕様書で「40%以下」に引き上げられたことが分かった。大浦湾側の一部区域では護岸を完全に閉めきる前に土砂を投入する計画があり、今回の土砂が使用されれば環境への悪影響が懸念される。

 土砂の細粒分の割合が増すほど粘土状になり、濁りが起きやすくなる。沖縄防衛局は埋め立て承認申請の際に県に提出した環境保全図書で、細粒分の含有率を「概ね10%前後」としていた。しかし、2018年に埋め立てが開始された直後に、防衛局が細粒分の割合を40%以下として発注していたことが判明した。県は行政指導文書を発出するなど疑義を示したが、防衛局は「周囲を護岸で囲んで土砂を投入する場合には濁りが拡散しないため、当てはまらない」などと主張していた。

 しかし、防衛局が20年に県に提出した設計変更申請書では、大浦湾側の埋め立て区域について「工期を短縮するため、外周護岸の概成前から埋立てを開始する」と記載されている。土砂が仮置きされた後に閉めきられていない区域に投入されれば、防衛局の従前の説明と矛盾が生じる。沖縄平和市民連絡会の北上田毅氏は「当時の防衛局の弁明から考えてもおかしい。細かい土砂がどんどん大浦湾に広がり、汚染してしまう。県も行政指導などきちんと対応するべきだ」と指摘した。
 (沖田有吾)