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大浦湾埋め立て用の海砂・山土は外来種対策「不要」 移植サンゴの経過観察も終了 沖縄防衛局が環境監視等委員会で提示


この記事を書いた人 琉球新報社
6月の調査で新たに「全体的に白化」と報告されたオキナワハマサンゴの様子(右)。移植直後の2018年8月(左)から大きく縮小した(環境監視等委員会の資料から)

 沖縄防衛局は23日、名護市辺野古の新基地建設工事について有識者から助言を得る「環境監視等委員会」の会合を那覇市で開いた。埋め立て海域のサンゴ保全で移植された絶滅危惧種オキナワハマサンゴのうち、前回委員会時点で生存していた2群体のうち1群体が「全体的に白化」したことが報告された。移植サンゴの生存が危ぶまれる中、防衛局はオキナワハマサンゴのモニタリング調査について、県の同意も得たとして7月分で終了した。

 また、県から設計変更の承認を得る必要がある大浦湾側の工事に向けた海砂や山土、公共残土を使用するための外来種対策なども提示し、埋め立て工事を進める姿勢を改めて示した。

 オキナワハマサンゴは移植した9群体のうち7群体は前回までに死亡が確認されていた。今回、白化が確認されたのは「ナンバー17」。5月時点の調査では「部分死を確認」とされていた。

 防衛局側は過去にも一時的に白化したことがあるとして、死亡したとは判断していない。

 環境監視等委員会の中村由行委員長は「移植から5年程度がたち、そろそろ寿命を迎えている段階だ」と述べた。移植したサンゴの調査を終了することについては「当初の予定通りで、妥当だ」との見解を示した。

 一方、大浦湾側の埋め立てで使われる海砂については、設計変更申請で、軟弱地盤の改良材やケーソン護岸などの中詰材として約386万立方メートルを使用する計画だ。

 防衛局の資料では「海砂の調達先は決定していない」としつつ、採取実績がある県内の海域6カ所を示し、対策を検討した。その結果、海砂採取時に外来種が付着または混入するおそれはないとして「特段の対策は不要」との見方を示した。

 山土についても、米軍キャンプ・シュワブの陸上部や辺野古ダム周辺から採取するため「事業実施区域外からの搬入に当たらない」として、外来種対策は不要だとした。

 公共残土については、事前に外来種の生息状況を行い、外来種を持ち込む懸念がないことを確認した上で使用するとした。
 (知念征尚)