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沖縄の子牛、1頭42万円 過去10年で最低に 台風被害も追い打ち 流産や畜舎破損も


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387頭が上場された南部家畜市場の牛セリ市=17日、糸満市の南部家畜市場

 8月の県内の子牛競りが19日に終了し、子牛1頭当たりの税抜きの平均価格が、速報値で過去10年で最低の42万2864円となった。7月の平均価格と比較して1万4145円安く、4カ月連続の下落。台風6号で畜舎損壊や激しい風雨で母体が弱ったことによる流産といった被害もあり、価格下落に窮する繁殖農家に追い打ちとなっている。7月までの平均価格を受け、県と国の補助事業が発動しており、8月末から農家への交付が開始される予定だが、価格の下落幅が大きく、依然厳しい状況が続きそうだ。

 子牛価格は2019年には1頭70万円前後で取引されていたが、22年から飼料高に伴う飼育費用の増加や和牛需要の低下などで値崩れが起きた。

 8月の県内の子牛の競りでは、雌の平均価格が36万6525円、去勢の平均価格が45万7562円。

 餌代などの価格の高騰もあり、採算ラインは50~60万円ほど。多くの子牛が、飼育原価を下回る額で売られている状況だ。

 17日に開催された南部家畜市場の牛セリ市では、競りが始まっても買い手が付かず、開始値が下げられていく様子も多く見られた。

 台風6号の被害も打撃となっている。南城市の繁殖農家の与那覇清雄さん(78)の畜舎は、トタン屋根の一部が飛ばされ、屋根の柱が折れた。壊れた箇所は手作業で修繕したという。

 7月までの子牛価格の下落を受け、国の「和子牛生産者臨時経営支援事業」と、県の「県和牛子牛価格安定特別対策事業」が発動した。

 支給金額は国の事業では子牛1頭当たり1万5千円、県の事業では雌子牛に限り、1頭当たり、4月分が2100円、5月分が4万8500円、6月分が7万1200円、7月分が7万4700円。

 4~6月分の支援金は今月末から随時支給を開始する予定。また県事業は現在、急激な価格下落を受け、単月ごとの支援金計算に変更したが、24年度以降は四半期の計算に戻すか未定となっている。

(福田修平、上江洲仁美)