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子の居場所づくり、食料支援で9団体助成へ 那覇・まちづくり審議会答申 行政内の連携、情報共有求める


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知念覚市長(中央)に答申書を手渡す市協働のまちづくり推進審議会の糸数未希会長(左から2人目)=23日、那覇市役所

 【那覇】沖縄県那覇市の諮問機関である那覇市協働によるまちづくり推進審議会はこのほど、子どもの居場所づくりや食料支援などに取り組む9団体を、2023年度なは市民活動支援事業助成金の交付先として選定した。23日、知念覚市長に答申書を手渡した糸数未希会長ら審議会の委員は、助成金の公募に「食」に関する活動を行う団体からの応募が多かったとして、行政内の横断的な連携や情報の一元化、支援体制の強化など、公的支援の拡充を求める付帯意見を合わせて出した。

 付帯意見では、市が実施する福祉関連の支援事業について「各課がバラバラに動いており、市民団体にとって分かりにくい現状がある」と指摘。「行政が善意のボランティア任せにせず、情報共有や制度へのつなぎを含めて、いろいろと連携できることはある」と訴えた。付帯意見について糸数会長は「食料支援などの活動は民間だけでは続けられない。貧困対策など命に関わるものは行政が踏み込んで支援すべきだ」と語った。

 なは市民活動支援事業は、社会貢献活動に取り組む市民団体に20~100万円を交付する事業で、今回は18団体から応募があり、9団体が選定された。18団体のうち、「食」に関する取り組みを行う団体が8団体あり、うち3団体は助成先として選定された。

 付帯意見ではそれらの事情を念頭に「支援事業は市民の暮らしに関わる全ての分野を対象としている一方、食という命に関わる福祉分野の占める割合が大きい現状となっている」と指摘。行政の政策立案と市民団体が持つ知見を組み合わせることで、より効率的・包括的・効果的な取り組みを行うことが重要となると主張した。

 知念市長は、貧困対策などの公的支援の在り方について、「本来は行政が貧困対策などに関するスキームを作り上げ、そういった活動をする団体は今回のような助成事業に申し込まなくてもいいというのがあるべき姿だ。ただ、需要に対して供給が間に合っているか把握できていない。協働のまちづくりの観点から行政として、市民団体の自主性を尊重しながら、平等に公金を配分できる仕組みにもっていきたい」と語った。交付団体と交付額は市のホームページから確認できる。

(吉田健一)