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沖縄県、防衛局に行政指導 辺野古の土砂仮置き 承認願書で「記載が確認できない」と指摘


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 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、設計変更が必要な大浦湾側の埋め立てに使う土砂を辺野古側の埋め立て地に仮置きする沖縄防衛局の計画を巡り、県は29日、同局に行政指導文書を発出した。造成工事に着手しないことや、辺野古側の埋め立てに必要な量を超える土砂の搬入をしないことを求めた。行政指導には強制力はない。防衛局は「県の文書については現在、内容を確認中だ」とした。

 県は文書で、「2013年度に承認した埋め立て承認願書に当該造成工事の規模で土砂の仮置きを行うことを示した記載が確認できない」と指摘した。

 防衛局はこれまで、県の質問に対して、仮置きは願書の承認によって可能だと主張していた。

 一方で県は、当初の承認願書などで仮置きについて具体的に記載された箇所が確認できないとした。

 県は、防衛局が環境保全図書で「揚土された埋め立て材、地盤改良材は全て揚土された月内で使いきるものとし」と記載していることと整合性が取れていないと指摘。埋め立て用の土砂の毎月のストック量は最大で約10万立方メートルとされていることから、新規埋め立て区域に約100万立方メートルの土砂を仮置きする計画があったとは認められないなどとした。

 これらを踏まえ、当初願書の段階で、今回の工事の規模で仮置きする具体的な計画はなかったと判断した。

 県はこれまで、仮置きを巡り、計画の内容や埋め立て願書との関係などについて防衛局に対して2度の質問をしていた。県海岸防災課の担当者は、県として防衛局の主張に納得できない部分があり、行政指導に至ったと説明した。
 (與那原采恵)