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富永、空気変えた!驚異の3ポイント成功率75%、試合決める バスケW杯 五輪決定


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
日本―カボベルデ 第2Q、3点シュートを決める日本の富永啓生=2日、沖縄市の沖縄アリーナ(小川昌宏撮影)

 日本代表の最終戦で勝負を決めたのは、富永啓生が美しい軌道で放つ飛び道具だった。第1クオーター(Q)の残り1分を切り、カボベルデに5点差をつけられた重苦しい場面で出場すると、いきなりスリーポイントを沈め、試合の空気を変えた。ただ第1Qは、富永の「ショータイム」の序章にすぎなかった。

 2点を追って始まった第2Qで富永の輝きは増していった。ジョシュ・ホーキンソンらの活躍で逆転した直後の残り7分4秒の場面で、スリーを警戒して間合いを詰めた相手を抜き去り、フックシュートを華麗に沈める。ドライブにも注意がいったところで、スリーポイントを量産していった。第2Q残り5分からわずか1分10秒の間に、3本のスリーポイントを成功させ、流れを完全に日本のものにした。

 日本チームのシューターとして、1次リーグのフィンランド戦では勝利の立役者の1人だった。だが、最終のオーストラリア戦は10本のスリーを打ったが、成功は一つもなかった。それでも自分を信じて打ち続けた結果は、最終戦で実を結んだ。終わってみれば18分間の出場でスリーポイント6本を決め、ホーキンソンに次いでチーム2位となる22得点。スリーポイントの成功率は75%の高確率で、試合で最も活躍した選手の「プレーヤー・オブ・ザ・ゲーム」にも選ばれた。

 米ネブラスカ大に所属。日本の司令塔・河村勇輝とは同い年の22歳で、チームの最年少だ。「なかなかチームを助けることができず、何としてもスリーポイントを取るという気持ちだった」と試合を振り返った。米国で技術をさらに磨き、1年後のパリ五輪での活躍を誓った。

 (池田哲平)


 日本、フィリピン、インドネシアが共催するバスケットボール男子ワールドカップ(W杯)は2日、沖縄市の沖縄アリーナなどで行われ、順位決定リーグのO組最終戦で世界ランキング36位の日本は同64位のカボベルデに80―71で勝ち、アジア最上位で来年のパリ五輪出場権獲得を決めた。自力での五輪出場は1976年モントリオール大会以来となる。日本は今大会の通算成績を3勝2敗とし、順位決定リーグのO組1位でアジア最上位となった。W杯で日本の2連勝と同一大会での3勝は初めて。日本は17―19で迎えた第2クオーター早々に逆転。河村(横浜BC)のドライブや富永(ネブラスカ大)の精度の高い3点シュートに加え、ホーキンソン(SR渋谷)もゴール下で活躍して得点を重ねた。終盤の相手の追い上げもしのいだ。8月30日までの1次リーグでアジア勢は日本が唯一1勝を挙げたが、全6チームが2次リーグ進出を逃した。アジア最上位が獲得するパリ五輪出場権は、順位決定リーグで争われていた。