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261グラムで生まれた金城さん、1年遅れで新1年生に 自分のペースで、広がる世界 沖縄


261グラムで生まれた金城さん、1年遅れで新1年生に 自分のペースで、広がる世界 沖縄 就学猶予で奔走してくれた田場こども園の先生に囲まれる金城寧々さん(前列)と母のまゆみさん(後列中央)=4月25日、うるま市の同園
この記事を書いた人 Avatar photo 玉城 文

 261グラムの超低体重児で生まれたうるま市の金城寧々さん(7)が4月、就学猶予制度を利用して1年遅れで田場小学校に入学した。入学時の体重は15キロ。周りと比べると少しきゃしゃだが、身長はさほど変わらない。寧々さんは周囲の愛情を受け、自身のペースで心身共に成長している。

 「はい、はいっ」。算数の時間。教室で先生の問いかけに、寧々さんが手を挙げる。寧々さんは「授業は全部楽しい」と充実している様子だ。島袋淳校長も「いつも一生懸命」と太鼓判を押す。

 母のまゆみさん(46)と父の勝利さん(46)は内心、寧々さんが小学校になじめるか不安だった。

 寧々さんが生まれたのは予定日より4カ月も早い2017年2月。人工呼吸器もつけるなど、医療サポートを受け、7カ月後には体重3290グラムに達し、退院した。

 小学校入学を見据えて集団行動に慣れるため、3歳になると子ども用デイサービスに通わせた。しかし、寧々さんは同級生と比べると発達がゆっくり。劣等感を抱かせないように心身への影響を考慮し、就学猶予を申請することを決めた。

 寧々さんが5歳の時、2人は1年の猶予を想定し田場こども園(長嶺将大園長)の4歳児コースに通園させた。長嶺園長と連携し、市教育委員会に低体重を理由に就学猶予を申請し、認められた。

生後7カ月当時の金城寧々ちゃんを抱く母のまゆみさん(右)と父の勝利さん。医療サポートを受けて成長し退院した=2017年、県立中部病院
生後7カ月当時の金城寧々ちゃんを抱く母のまゆみさん(右)と父の勝利さん。医療サポートを受けて成長し退院した=2017年、県立中部病院

 園に通う中で、寧々さんに変化が見えた。初めは先生のそばにくっついていたが、2年目になると他の園児と遊ぶようになった。体が成長し体力もついた。以前は、よく転ぶため走るのを避けていたが、園のマラソン大会で懸命に走り、皆を驚かせたという。

 周囲の子どもたちも、寧々さんが困っていると、自然に手を差し出す。逆に、寧々さんが他の子を助けることもある。長嶺園長は「猶予の1年で体が成長し、心の成長にもつながり、周囲にも影響した」と実感する。

 歌とダンスが好き。大好きな先生の影響で保育士にも興味がある。「将来は何になろうかな」。人や新しい事に触れるたび、寧々さんの世界は広がっていく。

 (玉城文)