学ぶ意欲、地域で育成 目指せ「文武両道の辺野古」


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 【名護】塾を通して生徒の学ぶ意欲を育て、文武両道の辺野古区を目指す―。辺野古区が2014年度から中学生を対象に始めた学習塾が軌道に乗り始めている。家庭学習がおろそかだった子も週3回の塾通いで学ぶ意欲と成績を高め、自らの進路を見据えるようになった。少しずつ変わっていく子どもたちに、嘉陽宗克区長も「町づくりは人づくり。いずれ地元に戻って力になってほしい」と期待する。

加納滋徳社長の講話に耳を傾ける辺野古区の中学生ら=11月24日、名護市辺野古

 塾は火、木、土曜日の午後7時から。本年度は同区のみの中学生44人中34人が入塾し、希望の高校を目指して部活後もペンを握る。
 学習塾は、過去に交付され、基金として積み立てた市の再編交付金を活用した辺野古地域コミュニティ事業「放課後等学習教室」として始まった。年度予算は約1300万円。学習塾のトリプル・アイグループ(加納滋徳社長)のスタッフ3人が教壇に立つ。
 加納社長は県の発展のためには子どもの学力の底上げが必要と感じており、「大学進学は絶対条件じゃないが、必要条件となっている」と述べ、まずは生徒らの高校進学率アップを後押しする。意欲的な子どもたちを受け入れ、家庭訪問で送迎の協力にも理解を得るという。
 開講した8月から通い、沖縄高専への進学を目指す比嘉菜緒さん(15)は「みんなと塾で勉強するのが新鮮。授業と違い、少人数で自分のためだけに勉強できる」と、塾効果を実感している。宜野座高校に進学して野球を続けたい知花海輝(みき)君(15)は「英語のリスニングも良くなってきた」と語った。
 事業を開始した14年度、嘉陽区長は、学力テスト結果が芳しくない同区の生徒らが塾で見せる屈託のない態度に、定着を心配した。しかし、生徒が「塾は楽しい」と言って見せた笑顔や、17人中進路変更の1人を除く16人が高校合格を果たした結果に手応えを感じた。
 嘉陽区長は「文武両道の『武』と同様に『文』ももり立て、町づくりのために優秀な人材を育てていきたい」と語った。
(嘉陽拓也)