将来の道、生徒ら熱演 水納小中「最高の発表会」


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児童、生徒、教職員らが出演した創作演劇の一場面

 【本部】児童2人、中学生1人といずれも在籍数が県内最小の本部町立水納小中学校(石嶺聡校長)で21日、学習発表会が開かれ、島民の倍近い60人ほどが島内外から駆け付け、研究学習の報告や舞台発表を楽しんだ。メーンの創作劇は教職員や県内で活動する俳優も出演。将来の進むべき道について、悩みながらも思い描いていくテーマを子どもらが熱演した。会場から大きな拍手が湧き続けた。

温かい拍手を送る島内外からの観客

 水納小中学校は次年度、中学生がゼロとなり、中学は1年間休校となる見込み。同校の休校は2007年度以来2度目となる。
 この日の学習発表会は「THE SPIRIT OF MINNA~僕たちの新たな挑戦」をテーマに開かれた。小さな音楽会で幕開けした。小学5年の湧川海色(まりん)さん(11)と同2年の宮里琉太君(8)がリコーダーや太鼓を演奏。「手のひらを太陽に」など3曲を手話を交えながら披露した。

創作劇に出演した児童生徒、教職員ら。前列中央が主役の島袋理輝君=21日、本部町立水納小中学校

 創作劇は文科省事業「コミュニケーション能力の育成に資する芸術表現体験」の一環で、ことしで3年目。演出家の田野邦彦さんが指導に当たり、県内の劇団「チームスポットジャンブル」の与那嶺圭一さんと玉榮日也美(ひなみ)さんが協力した。
 「少年は今日も旅の夢をみる」を演題に、中学3年の島袋理輝君(15)を主人公にした夢の中の一場面を描いた。「あなたにとって道とは」という夏休みの宿題に四苦八苦する主人公。先生らに相談しながらも料理人になり、島で食堂を経営。周りにも喜んでもらえる仕事への将来像を夢の中で描いていく。
 50分にわたる舞台を終え島袋君は「料理人は僕自身の夢でもある。島に人を呼び込めるように、勉強していきたい。達成感でいっぱいだ」と笑顔。今春から島を出て北山高校に進学する目標を持っており「少ない生徒で頑張ってきた島での経験を今後も発揮したい」と抱負を述べた。
 湧川さんは「何度かせりふのタイミングが合わなかった」と反省しつつも「緊張はなかった。理輝にいにいが喜んでいる様子がうれしい。最高の発表会になった」。宮里君も「家族ら見に来てくれた人が満足そうだった。目標を達成できてよかった」と充実感が漂った。
 石嶺校長は「予想を超える人数で、席を新たに設けた。応援に感謝している。1年間休校となるが、その間も地域で協力し合い学校行事に取り組みたい」と話した。