【キラリ大地で】アルゼンチン 県系2世の舞踏家 我如古・“マギ”さん


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沖縄音楽とタンゴ融合
 アルゼンチンに舞踏が伝わったのは1980年代末で、演劇界が注目を集めるようになったのはここ数年のことである。そのアルゼンチンの舞踏家の中にウチナーンチュが1人いる。

 アルゼンチン生まれで、うるま市にルーツを持つ県系2世の我如古・“マギ”(本名=我如古・ミゲル・アンヘル)さん(56)だ。我如古さんは90年代に大野一雄氏に7年にわたって師事し、その後フランス・パリで独自の舞踏団(フリムーン・ウルトラバッローカ・タンツシーアター)を立ち上げて活躍した。現在は母国アルゼンチンに戻り、同舞踏団で自分自身の作品をプロデュースしている。
 我如古さんの最新作品が、昨年11月にブエノスアイレス市内の舞台で公開演舞を2回にわたって催した「ティントレリーア・トウキョウ(洗濯店東京)」と名付けた作品である。
 我如古さんの両親の時代は日系社会で洗濯業は最大の職種で、我如古さんの家庭も例外ではなかった。我如古さんは他人の山積みの洋服の中で成長し、作品「洗濯店東京」は両親が他人の洋服を洗濯していた生活を反映している。

我如古・“マギ”さんの作品「ティントレリーア・トウキョウ(洗濯店東京)」=2015年11月、ブエノスアイレス市内
アルゼンチンの舞踏家我如古・“マギ”さん

 背景音楽には伝統的な沖縄の曲とタンゴが使われている。舞台には、桜の枝に似せた外観を持つ物に数え切れないくらいの洋服が掛かっており、森のように茂っていた。構成員9人の舞踏団体による本公演は、我如古さんの指揮の下で行われ、全員非日系の舞踏家たちが身体で移民の苦労を表現していた。
 アルゼンチンで舞踏家はまだ新しい部類のアーティストなので、これから先の活動を注目したい。(大城リカルド通信員)