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米軍基地内のPCB廃棄物処分に影響か 北九州の処理事業所、新規受け付けを年内で終了 


米軍基地内のPCB廃棄物処分に影響か 北九州の処理事業所、新規受け付けを年内で終了  処理施設に搬入されたPCB廃棄物、PCB汚染物などを一時保管する倉庫=9月12日、JESCO北九州PCB処理事業所の処理施設
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 2023年度中は特例的に沖縄からの高濃度ポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物の受け入れ先となっている中間貯蔵・環境安全事業(JESCO)北九州PCB処理事業所が、新規受け付けを年内で終了することが25日までに分かった。県内の米軍基地には大量のPCB廃棄物が残っているが、防衛省が引き取って国内で処分する手法は使えなくなる。

 米軍が基地内のPCB使用を十分に管理・把握しなかったため、残量を踏まえた処分計画はまだ立てられていない。JESCOの受け付け期限が残り3カ月に近づく中、日本政府は米軍に廃棄物を持ち帰らせることができるか、協議を加速させる必要に迫られている。

 JESCOは政府全額出資の特殊会社で国内の高濃度PCB廃棄物を処理する。米軍基地内の廃棄物受け入れは想定されていない。防衛省は明確な法的根拠がないまま、米軍が使用した海外製を含むPCB機器を引き取って処分を肩代わりしてきた。10月上旬には米軍から引き取ったドラム缶13本分をJESCO北九州に持ち込む予定だ。

 政府やJESCOは立地自治体に処分期間や分量を事前に約束して操業を始めた。だが一部間に合わなかったため、特例的に処理を続けている。JESCO北九州や環境省によると、本年度で処分を終えるため、年内に契約する必要がある。来年4月からは施設の解体・撤去作業に入る。

 一方、処分施設のある北九州市では、本年度末の処理期限の延長を警戒する声が上がる。25日に開かれた市議会決算特別委員会で、山内涼成市議(共産)が市当局をただした。武内和久市長は「期限内に安全かつ確実に処理されるよう、最後まで監視・指導する」と答弁した。JESCO北九州の渡辺謙二所長は本紙取材に「市との約束だ。延長はしない」と答えた。

(明真南斗)