早大沖縄研究所、今月末に閉所へ 所長定年で後継不在


この記事を書いた人 志良堂 仁

 【東京】早稲田大(東京都新宿区)で沖縄学の研究者育成などの役割を担ってきた「琉球・沖縄研究所」が本年度末の31日で閉所となることが2日、分かった。所長の勝方=稲福恵子教授によると、同氏が2017年度末で定年となることや、所長を引き受ける教員の不在が閉所の理由としている。

 研究所は法政大沖縄文化研究所と共に首都圏での沖縄研究の中心的役割を担っていた。勝方氏は「10年やり切ったという思いはあるが、辺野古の問題など今の沖縄は大事な時期であり複雑な心境だ」と語った。
 研究所は早大アジア研究機構の下に2006年4月に開設。沖縄学の総合講座のほか伝統芸能と現代芸術交流、沖縄映像記録のデータベース化、沖縄戦やその後の米統治下で影響を受けた「トラウマ」研究などのプロジェクトを進めた。
 本年度末で研究所が1期5年の2期目を終えるため、所長の勝方氏が定年となる17年度末を前に、閉所が決まった。
 今月19日に研究所の閉所イベントとして研究内容をまとめた紀要第5号の報告会がある。同26日には琉球舞踊のワークショップ・公演もあり、10年の活動を締めくくる。勝方氏は「後継がいないのは残念だが、新たに沖縄学のプロジェクトが立ち上がってほしい」と述べている。(仲村良太)