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「沖縄の民意、知らないふりはできない」 米軍基地を引き取る福岡の会・里村代表 過重な負担「全国で議論起こしたい」


「沖縄の民意、知らないふりはできない」 米軍基地を引き取る福岡の会・里村代表 過重な負担「全国で議論起こしたい」 「沖縄の過剰な基地負担について、もっと全国で議論を」と呼び掛ける、「本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会」の里村和歌子代表=2日、福岡県福岡市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 辺野古新基地建設を巡り、移設阻止を目指す県が厳しい局面を迎えている中で、沖縄の基地過重負担を改めて問う声が県外でも上がっている。在沖米軍基地の引き取り運動を続ける「本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会」代表の里村和歌子さん(48)=大学研究員=は、「沖縄県民が何度も示してきた民意を、沖縄の足を踏み続けている加害者の1人として知らないふりはできない」と強く訴える。

 基地引き取り運動は、2015年に大阪で始まり、現在は全国13都道府県で展開。「基地問題を公平・公正に国民全体で議論して解決していくべきだ」として、沖縄と本土の不公平な関係性を見直し、基地を県外で引き取ることを呼びかけている。

 辺野古新基地建設の地盤改良工事に関する訴訟で、県の敗訴が確定した最高裁判決の後は「本土は沖縄に対する差別的政策をやめる責務がある」との緊急声明を発表した。

 15年に福岡の会を立ち上げた里村さんも、「沖縄に問題を押し付けているのは国だが、それを根底で支えているのは自分も含めた本土の有権者である」と話す。

 一方で、これまで積極的に街頭活動や講演会を積極的に行ってきたが、コロナ禍などの影響もあり、当初の活動の勢いが弱まっているという。全国的に基地に対しての当事者意識が薄れ、沖縄の問題として捉える「人ごと感」が強まっていると感じる。

 その間も、国は辺野古新基地建設に向けて強硬姿勢を堅持している。3カ月に一度発行している「ひきとり新聞」では「沖縄を犠牲にした安全保障環境を固定化し、(米軍・自衛隊の軍備を)増強する結果となっている事態には憤らざるを得ない」とつづった。

 基地問題に対して、全国で「当事者」としての議論が始まっていないことに、もどかしさとふがいなさが込み上げてくる。

 4日は国が新基地建設の設計変更申請を県に承認するよう指示した回答期限を迎える。「どのような答えとなるかは分からないが、これまでの沖縄の意見は少しも間違っていない」と強調する。その上で、当事者の立場として「共感を広げて、どうにかして世論をかきまわし、全国で議論を起こしたい。沖縄があんなにも声を上げているのだから」と奮起する。


(新垣若菜)