【名護】まちの顔のサクラを、盆栽として栽培し30年。小さなかわいらしい姿が周囲の目を楽しませ、話題になっている。育てているのは名護市の比嘉善夫さん(66)、智恵子さん(65)夫妻。自宅のベランダなどには鉢植えしたサクラが、小さな苗の段階も合わせると30鉢ほどある。そのうち、この春は4鉢ほどでピンク色の花を咲かせた。「見た目は小さな木々だが、力強く見えるように枝の形一つにもこだわる」という善夫さん。夫婦二人三脚で「小さな命」を大切に育て続けている。
善夫さんはもともとは大工で、今はリフォーム関連の事業所を次男譲治さん(39)に譲り、サポート役を担っている。1969年の結婚後に、以前から好きだった盆栽を趣味として始めた。
現在、最も長く栽培するサクラは、今帰仁村湧川の善夫さんの実家に自生していた樹木の苗を鉢植えし育て上げた。
本部町伊豆味で見つけた苗は、栽培し10年ほどのことし、やっとピンク色の鮮やかな花を咲かせたものもある。
智恵子さんが営む軽食喫茶「イブ」の常連客、宮城江美子さん(59)=名護市=はこの盆栽サクラの大ファンだ。「今年初めて、盆栽で育てるサクラを見た。体を壊し花見に行けない時もあった。かわいらしい木を見ていると心が癒やされ、元気をもらっている」と話す。
普段は見上げるサクラの花が盆栽になると、下に見る形になる。「目線が変わって面白い」と江美子さんはお気に入りだ。
石のくぼみに木を植え、根が植木鉢に届き根が石を抱えたような形にするなど、善夫さんは石を活用した「石付盆栽」を好む。海岸などから植える樹木をイメージし、石を集めているという。30年ほど育てるサクラも、その根がしっかりと石に絡みついている。
「周りにも喜んでもらえるような木々を、これからも心を込めて育てていきたい」。自宅での「小さな自然づくり」に夫婦で協力していく。