浸水防げ、地下に貯留施設 那覇市が石嶺に建設へ


この記事を書いた人 志良堂 仁
大雨の際に浸水被害が発生してきた「石嶺雨水幹線1号」=3日、那覇市首里

 大雨の際に発生する那覇市首里石嶺町4丁目地域の浸水被害を軽減するため、市は2016年度から同地域に雨水貯留施設を建設する事業を始動させる。敷地地下に約6千立方メートルの貯留施設を設置し、地上部は広場とする計画。国の防災・安全交付金を活用した5カ年計画で、事業費は約19億8千万円を見込む。長年被害に苦しんできた地域住民からは、市議会2月定例会に計上された予算案の成立を経た事業着手に期待する声が上がっている。

 市水道局下水道課によると同地域には市が管理するコンクリート製の水路「石嶺雨水幹線1号」があるが、都市化の影響もあって大雨時に浸水を繰り返してきた。1998年~2013年で床上浸水25件・床下浸水43件の被害が出ており、地域自治会などが改善を求める陳情も行っている。
 同課は15年度、「石嶺地区下水道浸水被害軽減総合計画」を策定。13年5月23日に10分最大18ミリ、1時間最大56・5ミリ、総雨量203・5ミリを記録した大雨を基にシミュレーションを行って貯留施設の規模などを算出し、浸水被害の軽減を図る計画を立案した。
 建設予定地は、同幹線の南側に広がる農地などを予定。16年度から物件や土地の補償契約、貯留施設の詳細設計を実施し、18年度には工事に着手する計画だ。
 同幹線の下流に位置する県管理の安謝川も改修事業が進められているが、24年完了予定のため、同課の担当者は「市としてできるだけ早く浸水被害の軽減を図りたい」と強調した。
 浸水被害の解消を訴え続けてきた石嶺みのり自治会の島袋善光会長は「浸水のたびに膝の高さまでぬれ、子どもたちの通学や日常生活に影響が出て困っていた」と説明。予算計上に「事業の実現を期待している」と述べた。