<南風>3次元の中国


<南風>3次元の中国
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 10月29日から11月3日にかけて広東省と江蘇省に行ってきた。

 広東省広州市では中国最大規模の展示商談会「中国進出口商品交易会(通称「広州交易会」)」を参観した。広州交易会は1957年に始まり、今回でなんと134回目。中国が改革開放政策を実施する前は西側諸国との貿易を行う唯一の窓口として機能した由緒ある展示商談会だ。

 主催者によるとコロナ下ではオンライン開催を余儀なくされたが、前回から通常開催が復活、今回はバイヤー数が約20万人になる見込みとのことだった。世界各国から訪れていたが、トルコなど中東地域からの来場者が特に目を引いた。会場にはムスリムの参加者のためにハラルレストランが設置されており、信仰に対する中国の配慮がよく現れていた。

 江蘇省塩城市では670万の市民を代表し、新疆ウイグル自治区の出身でカザフ族の黄希別克副市長が歓迎してくださった。中国におけるカザフ族の総人口は150万人で、沖縄の総人口と同規模。お話をうかがい、中国の少数民族に対する政策はうまくいっている方だと感じた。

 滞在中は風力発電やソーラー発電などの発展状況について紹介を受けた。電力供給を全てクリーンエネルギーに転換し、工場での製品生産に使うビジョンを描いて整備を進めている。EV(電気自動車)関連の工場も視察したが、発電のみならず蓄電技術の開発にも非常に力を入れており、近い内に社会生活を大きく変える可能性を秘めていると思う。

 視察では中国の経済、産業、民族、宗教などの最新状況を知ることができた。テレビや新聞、ネットで知る平面的な「2次元の中国」も大切だが、現地で感じられる立体的な「3次元の中国」はより深く、面白い。

(泉川友樹、日本国際貿易促進協会業務部長)