低額塾閉鎖相次ぐ 学習支援、対米請求権協の補助打ち切り


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二
地域の子どもたちの学習の場、居場所ともなっているユイマール塾=3月末、那覇市内

 2008年度から続けられていた低価格の学習支援塾「ユイマール塾」が、補助事業打ち切りのため閉塾を余儀なくされていることが5日までに分かった。県対米請求権事業協会が人材育成助成事業として行い、最も多かった13年度には石垣市、那覇市など県内36カ所で開かれていたが、協会の運営予算減少のため15年度で終了した。一部の塾は本年度も「必要とする生徒がおりやめられない」と講師らが手弁当で再出発し「人を育てるには長い時間が必要。補助を制度化してほしい」と声が上がっている。

 塾は、離島やへき地など教育資源に乏しい地域の格差解消を目的に始まり、都市部にも拡大。講師料や教室使用料などの助成を受けて、地域の退職教員らが各地で立ち上げ、運営した。授業料は月額で小学生4千円、中学生6千円と安く設定されている上、生活保護世帯、住民税非課税世帯には半額が事業から補助された。このため低所得世帯の子どもたちも通うことができる貴重な学びの場となっていた。
 協会によると、当初は12年度までの5年の時限事業だったが継続の要望を受けて3年間延長。小中学生を対象に行われていた14年度には、うるま市、糸満市、竹富町など12市町で34教室が開かれていた。15年度は離島と中学生の部のみに縮小し、同年度で終了した。
 協会は基金の運用益で運営しており「昨今の低金利で事業予算は大幅に減少している。他事業も縮小しており、これ以上の継続は不可能」と説明している。
 市町村中最多の13教室があった那覇市では、本年度、統合するところも含めて3カ所で講師らが同様の教室を開く。
 講師らからは「ほかの塾に通えない低所得世帯や発達障害傾向の子どもの居場所になっている」「運営はとても苦しいが、とにかく地域の子どもたちのためにと踏ん張っている」と塾の継続へ支援を求める声が相次いだ。(黒田華)