小熊賞に網谷さん 「魂魄風」人間の叫び、詩に


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 網谷厚子さん

 優れた現代詩集に贈られる第49回小熊秀雄賞に名護市辺野古在住の網谷厚子さん(61)の「魂魄風(まぶいかじ)」(思潮社)が選ばれた。小熊が詩作に励んだ北海道旭川市で同賞市民実行委員会が11日、発表した。県内からの受賞は第17回の岸本マチ子さん、第46回の与那覇幹夫さんに続き3人目。贈呈式は5月14日に旭川市で行われる。

 網谷さんは富山県出身。都立高校の教諭や副校長を経て、2008年から辺野古に移り住み、沖縄工業高等専門学校の教授を務めている。11年の「瑠璃行」では第35回山之口貘賞を受賞した。今回の受賞に網谷さんは「初の応募で伝統ある賞をいただきうれしい。沖縄に来なければ分からなかった思いを込めた作品。人間の叫びを描き、言語化したかった」と語った。
 選考委員の一人で詩人のアーサー・ビナードさんは、句読点を用いず散文詩で統一された作品を「パターン化と感じさせないうまさがある。古典の素養が底流にあり、それを現代の感覚に合った形に見いだしている」と評した。小熊秀雄賞には全国から89点の応募があり、4月9日に開かれた最終選考会で、最終候補作7点の中から全員一致で網谷さんの作品が選ばれた。