児童性搾取「根絶を」  国連報告のブキッキオ氏 沖縄の貧困にも言及


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
国連特別報告者のブキッキオ氏

 児童の性的搾取に関する専門家で、国連特別報告者として昨年10月、沖縄を含む国内4カ所で児童買春や性犯罪について調査したマオド・ド・ブーア=ブキッキオ氏の報告書がこのほど公表された。ブキッキオ氏は沖縄を含む日本の性犯罪について「加害者の大半が罰せられていない。児童の性的搾取の根絶に向け、性犯罪を厳しく取り締まるなど包括的な施策と規定を策定すべきだ」と指摘した。その上で「『性産業はもうかる』『性犯罪は重罪ではない』という意識を変えることが重要だ」と述べ、日本の性犯罪への寛容さが被害を助長しているとの見方を示した。

 報告書は、性犯罪の背景について「日本の性的不平等、性搾取に対する社会的な寛容さや貧困がある」と指摘。沖縄については「経済的な厳しさが続き、それによる家族の脆弱(ぜいじゃく)さが影響している」と記し、貧困の影響を受けているとの見方を示した。
 ブキッキオ氏は昨年10月19~26日に来日。東京、大阪、兵庫県川西市に加えて、失業率や離婚率、10代の妊娠率が高いなどの理由で沖縄を視察。県や県警、児童相談所を視察したほか、県内の専門家らの報告を受けた。夜の繁華街も視察し、「JK(女子高生)ビジネス」をしている少女たちとも面談した。
 児童への性的搾取根絶に向けた勧告は(1)包括的な施策と規定の策定(2)児童の性的搾取の実態調査(3)専門性のある人材の育成と、児童に対する相談窓口の増設(4)児童の性的搾取に関する起訴や処罰の実行(5)インターネットを通じた性犯罪の教育の強化-など。
(岩崎みどり、當銘千絵)