【読谷】読谷村でダイオキシン類や鉛で汚染された土壌が処理されず、2年以上行政間でたらい回しになっている問題について、環境問題の調査団体「インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)」の河村雅美代表は県内の基地汚染問題について「米軍と民間の投棄が混在する複合投棄が特徴的だ」とし跡地の現実を踏まえ国が対応すべきだと指摘している。沖縄防衛局は有害物質が見つかった場所が、返還前からフェンスがなく、米軍の由来のものと特定できないとし、防衛省が汚染を除去するのは困難という見方を示している。
読谷村のケースについてIPPは8日、報告書をまとめた。その中で河村代表は、法制度の不備で村が米軍起因の証拠を示さなければいけない状況を問題視している。
報告書では読谷村と同様に基地返還跡地から汚染物質が出てきた沖縄市のサッカー場や、北谷町上勢頭地区の事例も分析している。
沖縄市、北谷町ともに跡地利用推進特別措置法が制定される2012年以前に返還され、沖縄防衛局は法律上義務はないものの調査や処理などを担っている。
河村代表は沖縄市、北谷町でも投棄が混在している事例があり、読谷村ではまだ全面調査をしていないことから「読谷村も民間だけが原因とは断言できない」としている。
沖縄市の場合は枯れ葉剤メーカーのドラム缶が発見され、その後の調査で、米軍が使用していた1960年代から返還後の98年までの廃棄物や、民間のものとみられる廃棄物が発見されている。
北谷町では米軍由来の廃棄物は見つかっていないが、町が地盤調査で米軍の責任を立証し、防衛局が聞き取り調査などをし、状況証拠で判断したという。
防衛局は琉球新報の取材に対し、沖縄市と北谷町の場合は基地境界にフェンスがあり、基地関係者以外は立ち入りが制限されていたとし、「基地の使用状況や廃棄物が発見された状況などを踏まえ、米軍の行為に起因すると考えられ、対応している」と回答した。
読谷村の場合は、地元業者が土地を使用していたとして「土壌汚染の除去などを防衛省が実施することは困難だ」と主張している。
河村代表は「米軍に起因するかどうか国が『認定』し処理を拒むことは妥当でない」と指摘している。(清水柚里)