【島人の目】羅府新報、存続の危機に


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 ロサンゼルス郊外モンテベロ市のクワイエットキャノン・レストランで1日、2016年度ウーマン・オブ・ザ・イヤー昼餐会が開催された。日系コミュニティーに貢献した5人の女性が表彰された。300人が出席した。元アメリカテレビ局のニュースキャスターでアンカーを務めたトリシア・トヨタさん=UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)アジア・アメリカ人類学部助教授=が登壇し、会場は一層盛り上がった。

 南カリフォルニア日系婦人会などが主催する同昼餐会は1963年に最初の2人を表彰、現在にいたるまで数多くの日系コミュニティーへの貢献者を選出してきた。今年は沖縄県系人の表彰者はいなかった。この表彰式の最後に司会者が繰り返し力説したキャンペーン・メッセージ「羅府新報を救え」が出席者に伝えられた。
 羅府新報の4月27日付で吉田純子記者が「北米最古の邦字紙の使命」と題してコラムを掲載した。「1903年創刊の羅府新報は日米開戦後の42年に休刊を余儀なくされた。幾多の困難を克服し終戦を迎え、3年9カ月の休刊期間を経て再刊した。それから70年、紆余(うよ)曲折を経て今に至る。先月、存続危機を伝える社告が掲載された。北米邦字紙の相次ぐ休刊やデジタル化への移行など新聞業界も試練の時を迎えている」
 吉田記者の結論は「幾多の困難が降りかかろうとも、当地で日本文化を継承し、さまざまな分野で活動する日本人、日系人がいる限り、彼らの活躍は伝えていかなければならないと思う」とし、それが羅府新報が守り抜いてきた伝統で邦字紙としての使命でもあることを強調した。
 羅府新報は邦字紙だが日本語と英語が7対3の新聞である。私自身滞米46年愛読してきた新聞であり、琉球新報の通信員として取材に大いに役立てている。羅府新報の存続危機は、あってはならない。
 では何ができるか。それは自分も含めて一人でも多くのオンライン購読者になり、存続の一助になることではないか、と考える。
(当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)