法との関係は?識者はこう見る エアコン補助廃止


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

周辺整備法順守せず/渡嘉敷健氏 琉球大准教授

 防衛施設周辺整備法は、法律としては環境法に入るもので、防音工事は環境を整備するための法律に基づくものだ。防衛省は今回の一部補助廃止を財政難のためと言っているが、それならば財務省に掛け合って調達すればいい話であり、負担を地元に押し付けるのは法を順守していないことになる。なぜ防衛施設周辺整備法ができたのかということに立ち返って考えないと、安易に予算が厳しいというだけでは地元は到底納得しないだろう。
 騒音が改善されたという客観的なデータもなく、私の測定でも減っているという認識はない。それを一方的に廃止するやり方はフェアではない。そもそも等級を決めたのは防衛省であり、それに基づいて補助するとしながら、3、4級はうるさくないという判断で推し進めていいのか。学校施設の音環境であり、防衛省だけの基準ではなく、文部科学省の基準も順守しなければならないはずだ。教室内が窓を閉めた場合で50デシベル以下、窓を開けた場合で55デシベル以下が望ましいという結果に基づいているのか。沖縄県内での飛行実態に即した騒音調査として、文科省も認めたピークレベルで沖縄県も再度調査し、飛行機が飛んでいる状況での調査結果を防衛省にデータ提供する必要がある。
 維持費をカットして、設備だけ設けても学習環境が悪化するようでは実態が伴わない。本来は国が周辺住民に配慮すべきだが、予算がないからと廃止されるのでは本末転倒だ。影響を被っている学校施設を最優先に考えなければいけない。米軍が学校周辺の上空を通過しないことなどを真剣に考えない限り、学校の音環境を保全する意味でも納得はできない。(環境工学、騒音)