グローブ渡せず心残り58年 元海兵隊員”あの子”と再会


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二
約60年ぶりの再会を果たした横田政一さん(右)とリチャード・ディック・ブルースさん=17日、うるま市赤野公民館

 【うるま】1958~59年の約1年間、うるま市昆布のキャンプコートニーに滞在した元米海兵隊員のリチャード・ディック・ブルースさん(78)=ロサンゼルス在住=が17日、うるま市赤野公民館で当時の写真を展示し、赤野地区の住民らと交流した。今回の来県はブルースさんが当時、グローブなどの野球道具を赤野の子どもたちへ贈ったが「1人だけもらえなかった子にグローブを贈りたい」という心残りがきっかけだ。もらえなかった横田政一さん(68)と再会を果たし、約60年越しに手渡した。

1958年、少年らにグローブを贈呈したブルースさん(中央)と1人だけグローブをもらえなかった横田政一さん(前列右から2人目)

 ブルースさんは20歳の時に沖縄に派遣され、滞在中に約500枚の写真を撮影した。
 ブルースさんと再会した横田さんは「当時は野球道具もなくて、シートなどを手に巻いてグローブ代わりにしていた」と振り返った。ブルースさんから、約60年越しの思いでグローブを受け取り「自分はもう野球できる年齢じゃないから、孫にグローブをあげようかね」と満面の笑みで感謝を伝えた。
 ブルースさんは、赤野地域の人びとの暮らしの様子を記録した写真100枚超を持参。サトウキビを担ぐ人や一斗缶で水を運ぶ少女、当時の市場の様子など昔懐かしい場面が記録されている。「終戦から間もなかったが、沖縄の人は笑顔を絶やさず、互いに支え合っていた。各写真に物語があり、沖縄で過ごした時間は私にとって大変貴重だった」と、説明した。
 集まった住民らは「これ、私だ」「あい、これあんたのおばぁじゃない」と、当時撮影された写真を楽しそうに眺めていた。
英文へ→Former marine returns to Okinawa with photograph exhibition and baseball glove