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<沖縄基地の虚実16>200万円未満が7割超 跡利用に強い期待


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軍用地料などについて説明する真喜志康明県軍用地等地主会連合会長=北谷町の同連合会事務所

 2015年6月25日、自民党の若手議員による勉強会が東京都の党本部で開かれていた。講師に立った百田尚樹氏は沖縄の地元紙について「つぶさなあかん」などと発言したほか、軍用地主についてこう述べた。「基地の地主たちは年収何千万円だ。だから基地の地主が六本木ヒルズに住んでる。大金持ちだから、彼らは基地なんて出て行ってほしくない。もし基地移転ということになったら、えらいことになる」。これら発言が事実に即しているか、検証する。

 沖縄防衛局によると14年度現在の年間軍用地料(米軍分のみ)の金額別割合は100万円未満が58・4%、100万円以上200万円未満は19・1%、200万円以上300万円未満は8・4%、300万円以上400万円未満は4・3%、400万円以上500万円未満は2・7%、500万円以上は7%だ。4人のうち3人が200万円未満で、500万円以上は1割に満たない。
 県内のほとんどの軍用地地主会で構成される県軍用地等地主会連合会(土地連)の真喜志康明会長は金額別割合を念頭に「百田さんの見解は(実態と)全然違う」と指摘する。
 「基地移転となったら(地主は)えらいことになる」という発言も土地連の見解とは異なる。真喜志会長は「北谷や天久、泡瀬ゴルフ場跡地(北中城村)の事例を見ても、跡地利用の合意形成がうまくいけば、返還後の方が雇用や固定資産税など経済の観点から有効に活用されている」と述べた。
 「高齢の地主の中には返還されても跡利用を個別にできないのではと懸念する人もいるかもしれない」としつつ、「今は原状回復期間中やその後3年間まで地料相当額がもらえるなど制度が整備されている。返還が決まっている嘉手納より南の基地について、跡利用の観点から部分返還や細切れ返還とならないよう、計画的な返還を求めたい。県全体の発展をわれわれ軍用地主も支えていく」と返還後の跡利用に前向きな考えを示した。
 沖縄にある米軍基地は沖縄戦中や戦後、強制接収されて出来上がった。「地主は喜んで土地を提供したという思いは持っていないですよ」。真喜志会長はそう語った。(当銘寿夫)