【八重瀬】「自分たちの足元を知ろう」と、向陽高校(半嶺通男校長)の郷土芸能部が新たな取り組みとして、八重瀬町の各字に伝わる民俗芸能を地域住民から学んでいる。地域で教わった民俗芸能を織り交ぜた作品をことし6月の文化祭で披露することを目標に、部員たちは放課後や週末などを利用して地域に足を運び、熱心に稽古に励んでいる。
町港川にある向陽高には地元出身者をはじめ県内各地から生徒が通う。教育目標は国際的人材の育成だが、半嶺校長は「自らの足元を知り、世界中の人にしっかりと地域のことを説明できる人材こそが真の国際人」と考えている。
字ごとに獅子舞や棒術、ウフデーク、舞踊など多彩な民俗芸能が受け継がれている八重瀬町の伝統文化を生徒たちに学んでほしいと、半嶺校長が町に協力を依頼。町観光振興課が協力することとなり、各字の民俗芸能保存会に協力を呼び掛けて活動が始まった。
部員たちは22日に安里公民館を訪れ、安里区に約250年前から伝わる女性だけの祭祀(さいし)舞踊「ウフデーク(臼太鼓)」を保存会の会員たちから教わった。会員にとって高校生に教えるのは初めての経験。生徒たちの踊りや歌に目を凝らし、耳を澄ませて細かく指導した。
地域住民でも完璧に歌える人は少ないというウフデークの歌謡だが、生徒たちは会員たちの思いに応えようと、何度もCDを聞いて覚えている。
保存会の我那覇恵美子会長(66)は「保存会にとって継承が課題だが、若者のパワーが地域の人たちを動かす力になると思う。私たちも若くなる気持ち。喜んで協力したい」と話した。
今帰仁村出身の久田彩未部長(17)=同校3年=は「八重瀬町の文化を知ることができて楽しい。地域の方とも仲良くなれるので貴重な経験になっている」と話す。
与那原町出身の福地未和さん(16)=同1年=も「おばあちゃんたちの踊りについていくので精いっぱいだけど、まねしながら頑張っている」とはにかんだ。
生徒たちは今後、字志多伯の「水汲まー小」なども学ぶ。
(赤嶺玲子)