久高島出身、恩師が見い出す 重量挙げリオ代表の糸数 抜群の瞬発力と筋力


この記事を書いた人 新里 哲
リオ五輪に向けた抱負を語る糸数陽一=28日、東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンター

 【東京】日本重量挙げ協会が28日、男子62キロ級のリオデジャネイロ五輪日本代表に沖縄県出身の糸数陽一(25)=豊見城高-日大-警視庁=らを選出したと発表した。糸数は初出場。前回のロンドン五輪は代表入りを期待されながら涙をのんだ。糸数は記者会見で「一本一本、試技をしっかり積み重ねて順位を上げ、狙えるならメダルを目標に練習を積んでいきたい」と活躍を誓った。

 糸数は知念村(現南城市)の久高島で生まれ育った。久高中在学時にバドミントンをしていた糸数を見た担任の宮良三夫教諭が抜群の瞬発力と筋力を見抜き、県ウエイトリフティング協会の大湾朝民会長に紹介されて初めて重量挙げと出合ったという。2007年、豊見城高に進学して本格的に競技を始めた。

 高校時代に指導した金城政博氏は「足腰が強く、記録を伸ばすことができる土台がしっかりしていた」と評する。2、3年と連続で高校選抜、高校総体、国体の3冠を達成した。高校在学中に国内外4大会で日本高校記録を、出場するたびに塗り替えて“敵なし”と言われた。

 2010年の日大進学後はロンドン五輪を目指す。11年にかけて日本の出場枠を懸ける世界選手権の日本代表に3回選ばれた。ロンドンを目前に代表選考を兼ねた12年4月の全日本選手権男子62キロ級で、スナッチとジャークの大学記録樹立で有力候補に名乗りを上げたが、同じく日本新記録を挙げた105キロ超級の太田和臣との選考レースで太田にあと1キロ及ばず、男子代表枠も一つしかない中で涙をのんだ。

 その後は誰よりも練習し、リオデジャネイロ五輪を目指した。自身の日本記録を塗り替え続け、スナッチ135キロとトータル300キロは日本記録タイ、ジャーク168キロの日本記録を持つ。今年4月のアジア選手権で日本男子の出場枠1を獲得する値千金の優勝を果たし、五輪代表選考を兼ねた5月の全日本選手権で自身が持っていたジャークの日本記録を1キロ塗り替えて3連覇を達成、再び最有力候補の座をつかんでいた。