沖縄県警の捜査員らは30日、時折強い日差しが照り付ける中、死体遺棄容疑で逮捕した元米海兵隊員で米軍属の容疑者(32)=与那原町=が投棄したとみられるスーツケースなどの捜索を続けた。スーツケースは当初、容疑者が「遺体を入れて運んだ」と供述していることから、「犯行の重要な証拠になり得る」(捜査関係者)とにらむ県警の執念の捜索が続けられている。一方、女性のスマートフォンについても草木をかき分けながら必死の捜索が行われたが、30日も見つからなかった。
うるま市勝連平敷屋の廃棄物最終処分場では、スーツケースの捜索が1週間ほど続けられている。捜査関係者によると数点のスーツケースが見つかったが、事件との関連は現段階で断定できず、継続して捜索活動を行っている。
鼻を突く異臭の中、高さ10メートル近い廃棄物の山を重機で崩し、スーツケースが交じっていないかを目で確認する捜査員ら。重機のそばには、掘り出された小さな黒いかばんなどが置かれ、ごみの山の反対側には確認を終えた廃棄物が別の高い山をつくっていた。
午後5時ごろ、重機の動きが止まり、捜査員が1カ所に集まった。写真を撮り、掘り出した黒く大きなスーツケースをビニール袋で包み、さらに青いシートで巻いて持ち出した。ヘルメットとマスクを着けた捜査員の表情は見えなかったが、沸き立つような様子はなかった。
うるま市塩屋などでも、逮捕後最大規模となる100人態勢での捜索を実施した。時折雨が降る中で、午前10時ごろから午後5時ごろまで捜索を続けた。離島を除く全署と県警本部からなる捜索隊は「県警の総力を挙げて立件する」(県警幹部)という強い思いの表れだった。
じっとしているだけでも汗が落ちる蒸し暑さの中、人の背丈ほどの草むらを警杖でかき分け、茂みに入る捜査員。草木を刈って地面にかがみ込むなどして女性のスマホなどを必死に捜した。24、25日にはうるま市州崎の水路を捜索し、ヘドロがたまった川底から女性の自宅の鍵や犯行に使われたとみられる棒を発見した。
ある捜査員は、疲労感をにじませながらも「容疑者が米軍属かどうかは関係なく、これだけ残虐な事件を立件できなければ、警察の存在意義がなくなる。疲れたなんて言っていられない」と話した。