沖縄地区税関が2015年12月、海外から那覇空港に到着したプライベートジェット機に、関税申告がされていない約110キロの金が積まれているのを発見し押収していたことが7日までに捜査関係者への取材で分かった。東京に拠点を置く指定暴力団の関係者が密輸しようとしたとみられ、沖縄地区税関と警視庁、県警が関税法違反、消費税法違反などの容疑での立件を視野に捜査を進めている。
捜査関係者によると押収された金は約110キロ。昨年12月下旬時点の金の取引価格で約5億円に相当する。約4千万円相当の消費税分の利ざやを得ようとしていた可能性がある。
県外でも海外で購入した金の密輸により、支払うべき消費税分の利ざや分を稼ぐ手口が横行しているという。
金の取引価格は世界一律で無課税だが日本国内では消費税が課される。消費税は買う側が負担するため、国外で購入し、日本に持ち込む際に税関申告し、消費税相当分を支払う必要がある。だが密輸して日本国内で売却すれば8%が上乗せされ、売り手が消費税分の利益を得ることができる。暴力団組織が国内で販売し、利ざや分を資金源としている可能性がある。
捜査関係者によると、金は覚醒剤などと違い、輸入行為自体は禁じられていない。
そのため未申告での持ち込みが発覚しても、消費税分と罰金を支払えば多くの場合、金そのものは返還されるという。従って覚醒剤などの違法物品とは違い「低リスク」(捜査関係者)で利ざやを稼げるという。
金の密輸は、消費税が8%に引き上げられたことや金価格が高騰していることもあり、近年全国的に増加傾向にあるという。