北大東村の歯科衛生士、池原ひろみさん(49)が、2016年度の「沖縄小児保健賞」(沖縄小児保健協会主催)を受賞した。池原さんは、村の母子保健推進員と連携しながら乳幼児を対象に「歯磨き教室」を開いているほか、村小中学校でも随時磨き方を指導するなど、口腔(こうくう)衛生の普及に尽くしてきた。「真っ白な歯をのぞかせながら、子どもたちが笑顔で診療所に遊びに来てくれるとうれしくなる。歯を通した健康づくりに今後も貢献したい」と受賞の喜びを語った。
沖縄小児保健賞は、沖縄の小児保健活動に著しい功績があった個人・団体に贈られる。池原さんは4日、南風原町の小児保健協会で開かれた学会で、沖縄小児保健協会の宮城雅也会長から賞状を受け取った。
北大東村はかつて、虫歯のある児童生徒の割合が県内市町村でワーストクラスだったが、池原さんや養護教諭らによる啓発が実を結び、虫歯のある子の割合が減った。現在は県平均を下回っている。
夫の転職に伴って約20年前、旧具志川市(現うるま市)から北大東村に移り住んだ。当初は村社会福祉協議会に勤め、現在は北大東村立歯科診療所に勤務している。「以前はほとんどの子に虫歯があり、大人用歯ブラシを使っている子どもが多かった」と振り返る。
池原さんは、歯科診療所で子ども用歯ブラシの販売を始め、口の形に合った歯ブラシの使い方を教えた。栄養士と協力し、村立小中学校で野菜を素材にしたおやつ作りも広めてきた。
歯科診療所では、村子ども医療費助成を活用すれば、中学生まで無料で歯の手入れが受けられる。高校入学に伴い島を離れた高校生の中には、夏休みの帰省中、歯のお手入れをするため診療所を訪れる人もいる。池原さんは「予防が何より大切。『歯がきれいだって、よく褒められるよ』という言葉を聞くと、ほほ笑ましい気持ちになる」と目を細めていた。