呉屋繁雄さんが杉山英男賞 接合金具「クレテック金具」考案


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木質構造研究会の杉山英男賞を受賞した呉屋繁雄氏。手には発明した接合金具「クレテック金具」を持つ=9日午後、那覇市天久の自宅

 木造建築技術の開発などに貢献した人を表彰し、業界で権威ある賞の一つとされる木質構造研究会(東京)の第29回木質材料・木質構造技術研究基金賞第1部門(通称・杉山英男賞)に、元建築技術者の呉屋繁雄氏(85)=那覇市=が選ばれた。呉屋氏は1980年代前半に木造建築の接合金具「クレテック金具」を考案して国内で普及させた。呉屋氏は「大企業の研究者や大学教授が受賞する権威ある賞なので大変驚いている」と喜びを語った。

 接合金具がない時代、木造建築物は木材の端を加工して継ぎ合わせる工法が主流だった。呉屋氏は「伝統文化の継承は大事だが、高度な技術を持つ熟練工は少なくなる。若い大工でも効率的に木造家屋を建築できる工法が必要だ」と考え、接合金具を発明した。接合金具を使用することで工期の短縮や建築作業の簡易化が図れた。

 87年には科学技術庁長官賞や日本商工会議所会頭賞などを受賞し、本土企業から注目された。95年の阪神・淡路大震災後は強い耐震性が評価されて全国に広がった。

 「クレテック」の名称は名字の「呉」にちなんで命名した。現在も接合金具の図面を引いている呉屋氏。「熊本地震の復旧・復興作業を見ると、もっと効率良く頑丈な金物を作りたい」と第一人者として背負う責任と夢を語った。

 授賞式は15日午後、東京大学弥生講堂で開かれる。