【北谷】北谷町の慰霊祭が9日、町吉原の平和之塔で開かれた。町遺族会が、ピーク時200人以上いた正会員が今年4月現在10人に激減する中で迎えた。新田宗信遺族会長は「会員は最高齢が102歳、平均年齢も97歳となった。今年は毎年続けてきた遺骨収集も中止になった。今後どう遺族会を存続していくかが課題」と、多数の参列者に呼び掛けた。
慰霊祭には、遺族会をはじめ、町議会、小中高校生らが参列して、正午に合わせて黙とうし沖縄戦など、去る大戦で亡くなった町出身戦没者2321柱を追悼した。
新田会長は「遺族にとっていまだに戦後は終わっていない。遺骨収集は終わらず、不発弾処理も続く。戦後の後遺症は大変なもので、戦後71年経ても一向に収まらない。われわれのような遺族を二度とつくらないためにも、子々孫々にどうしても語り継がねばならないが、遺族会も存続の淵に立っている」と話した。
新田会長によると、全国的には孫を入会させて存続を図る会もあるが、会運営の会費が課題で解散する会もあるという。
慰霊祭で野国昌春町長は「次世代に戦争の教訓をどう語り継いでいくかが大きな課題。再び悲惨な戦争が起きないよう、平和の尊さを考え、行動していきたい」と述べた。町商工会などの代表焼香の後、町内の高校生らが千羽鶴を献納して焼香した。
慰霊祭に毎年参列している城間豊子さん(85)=町栄口=は父を中国で、母を沖縄戦で亡くした。戦後の祖母と妹との暮らしは苦労が続いた。「みんなの生活が豊かになっていくのを見てうらやましてくてね」と話し「本当に戦争は駄目ですね。平和ですよね。本当に」とかみしめるように話した。