【ロングインタビュー】思想家・内田樹さんが読み解く 岸田首相の訪米と日米首脳会談 対中の緊張強める政策の中で沖縄は


【ロングインタビュー】思想家・内田樹さんが読み解く 岸田首相の訪米と日米首脳会談 対中の緊張強める政策の中で沖縄は 内田樹さん(松原卓也さん撮影)
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 岸田文雄首相が4月、日本の首相として9年ぶりに国賓待遇で訪米した。敵基地攻撃能力(反撃能力)の保持を可能にする2022年末の国家安全保障戦略の改定を背景に、「米国は独りではない。日本は米国と共にある」と首相が訴えた先にあるものは何か。安保戦略改定について「明らかに『戦争ができる』方向にシフトした」と警鐘を鳴らしている思想家の内田樹さんに聞いた。

 内田さんは今回の訪米について「日本には自前の戦略がなく、『米国について行く』以外に政策の選択肢がないからそう言っている」と指摘する。

首脳会談で握手を交わす岸田首相(左)とバイデン大統領=10日、米ホワイトハウス(共同)


 今回の日米首脳会談では「南西シフト」を軸に自衛隊と米軍の一体運用が打ち出された。その真意について内田さんは
「対中戦争の最前線に米軍を置きたくないから、沖縄は自衛隊に任せるはずだ」と見る。

 内田さんは中国との緊張を強める政策に傾斜している日本政府の対応を批判し「太平洋戦争に続いて、沖縄は今度は巨大な中国軍の前に差し出されようとしている」と危惧する。

 沖縄を「非武装中立地帯」にする戦略の必要性を訴えた。(南彰)