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苦境のライバル助けたい! 火災に遭った石垣島クリーニング工場のため、同業者が結束 沖縄


苦境のライバル助けたい! 火災に遭った石垣島クリーニング工場のため、同業者が結束 沖縄 太洋リネンサプライの親盛一功社長(前列中央)と協力をする県内のリネン事業者の代表ら=15日、石垣市美崎町の南の美ら花ホテルミヤヒラ
この記事を書いた人 Avatar photo 照屋 大哲

 ライバル社の苦境に同業他社が立ち上がった。石垣市のクリーニング工場「太洋リネンサプライ」は1月2日深夜と同4日未明に2度の火災に見舞われ、工場の4分の3を焼失した。太洋社の苦難に石垣、宮古島市、沖縄本島の各リネン工場が協力を開始。約100日が経過した現在も、工場を貸したり、洗濯を代行したりして、サポートを続けている。「沖縄観光を支える理念」で「助け合っていくしかない」と県内リネン事業者が結束している。

 太洋社は八重山圏域のホテルなどで7割のシェアがある。火災で幸い人的被害はなかったが、電源や洗濯機が使用不能に。ベッドシーツやタオル、枕カバーなどリネン類の洗濯やプレスが困難となった。火災原因は現在も特定されていない。火災後、緊急対応で、市内のライバル会社、沖縄綿久寝具八重山営業所が工場を貸し、DCコーポレーションが洗濯を請け負った。太洋社は最小限度の供給ができた。

火災で焼け焦げたリネン類=1月4日午後2時17分、石垣市登野城の太洋リネンサプライ

 それでも洗濯処理が追いつかず1月16日から、コンテナにシーツなどのホテルリネンを積み込み、本島の同業他社に船舶で輸送している。コンテナ数は月に計50~60本に上る。ニューラッキーランドリーの読谷、石川工場、大洋クリーナー(糸満市)、リアンズ沖縄(沖縄市)、日琉リネンサプライ(浦添市)が届いたリネンを洗濯し、太洋社に送り返している。沖縄綿久は宜野湾、宮古島、中城、名護の工場でも対応している。

 15日、石垣市の南の美ら花ホテルミヤヒラに、太洋社の親盛一(かず)功(のり)社長ら県内各リネン会社の代表らが集まり、会見を開いた。大型連休や夏休みを前に、顧客のホテルなどに「大丈夫」観光客らに「安心して八重山に来て」と伝えるため。

 沖縄綿久の久保初男社長は「ライバルだからといって、いつまでもいがみあっているわけにはいかない。助け合っていかないと。それ(支援)以外は切磋琢磨(せっさたくま)していく」と語り、今後も協力を惜しまない考えを示した。

 他の社長や役員からも「ひとごとじゃない」「協力する」と前向きな言葉が相次ぎ、リネン業界で一致団結して支える意味で「ある種オール沖縄で支援する」と意気込む声も上がった。各社で協力し一社を支えるのは県内リネン業界で初めてという。

 親盛社長は「リネン事業者は地味な仕事で目立たないが、リネンがないと観光客は受け入れられない」と、県内の観光業を下支えしている自負をにじませた。その上でライバル社のサポートに「感謝、恩返ししていきたい」と謝辞を述べた。

 太洋社は現在、自社の生産体制は3~4割ほどまで回復し、7月には7割まで生産可能となる見込み。 

(照屋大哲)