子ども、地域で育む 牧師の細田さん、上間に「広場」開設


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子ども食堂などが一体となった「子どもの広場」を運営する細田光雄さん(後列右から3人目)=19日、那覇市上間のビクトリーチャーチ

 貧困家庭をはじめ地域の子どもたちを対象に無料の食事提供や、学習指導などを行う「子どもの広場」がこのほど、那覇市上間に開設された。運営する一般社団法人ビクトリーチャーチ代表の細田光雄さん(61)は、県内で30年間にわたり牧師として活動してきた。細田さんは「地域社会で子どもたちを育てる取り組みにしたい」との思いを胸に抱き、施設運営に日々情熱を注いでいる。

 長崎県出身の細田さんは1986年、妻の茂美さん(61)と沖縄に移住。以後、牧師として活動する中で貧困家庭の子どもや若者とも接してきた。これまでも貧困問題に取り組んできたが「宗教活動が中心で教会の枠から抜けられず、常にジレンマを抱えていた」ことから一般社団法人の設立を決意し、個人救済から社会救済へと活動の方向性を大きく転換した。

 2012年に始めた前身の「子どもの広場」では、子どもたちを遊ばせつつ、地域の母子家庭などの実態調査を実施。カウンセリングについても学ぶなど準備を整えた上で6日、子ども食堂や子ども料理教室、宿題教室などが一体となった「子どもの広場」として再スタートを切った。

 子ども食堂は毎日午後5時から2時間実施。対象は地域の3歳児から中学生で、ボランティアの大人たちが食事作りや宿題の手助けなどを担う。運営資金や食材などは主に取り組みの賛同者の協力で賄っている。細田さんは「前の『広場』は調査が主でケアまで手が回らなかったが、今後は柔軟に対応できる」と強調した。

 取り組みに賛同できず去って行った仲間もいた。「子ども食堂という名前自体が差別だ」とクレームをつけてきた人もいる。それでも「貧困問題の解決に向けて行政も努力しているが、民間から立ち上がって取り組むことが重要だ」との信念で前進を続ける。「地域の人々が家族になれるような取り組みにしたい」と熱く語った。「広場」では各種ボランティアの募集や食材などの提供を呼び掛けている。問い合わせは事業部(電話)080(3228)7996(細田)。