5月10日は語呂合わせで「黒糖の日」です。しかし、その製造方法や上白糖(白砂糖)との違いなど、知らないことが多いことに気付いた調査員。来たる黒糖の日に備え、調査してきました!
黒糖について調べるため調査員が向かったのは、那覇市古波蔵にある沖縄県黒砂糖協同組合。扉を叩くと、同組合の宇良勇さんと伊地秀明さんが迎えてくれました。
八島でのみ作られる黒糖!?
さっそくですが黒糖はどのように作られているのでしょうか?
「さとうきびの搾り汁をろ過した後、煮詰めて濃縮・攪拌(かくはん)し、冷やし固めたものが『黒糖』です」と宇良さん。このとき、ろ過したさとうきびの搾り汁から糖蜜を取り除き、精製すると上白糖やグラニュー糖になるのだといいます。糖蜜を含む黒糖は上白糖と比べてカルシウムやカリウムといったミネラルが豊富に含まれているんですって!「黒糖=体に良い」というイメージはそういった理由が関係しているんですね。
ちなみに黒糖には消費者庁が定めた定義があり、さとうきびの搾り汁のみを煮詰め、固めたものが「黒糖」。黒糖に粗糖(白砂糖の原料)や糖蜜などを混合・加工した「加工黒糖」。黒糖を使用せず、粗糖や糖蜜を混合したものが「加工糖」とされています。その中でも、同組合では伊平屋島、伊江島、粟国島、多良間島、小浜島、西表島、波照間島、与那国島の八島でそれぞれ製造された黒糖を「沖縄黒糖」として販売。土壌や気候はもちろん、島によってさとうきびの品種も異なるといいます。
「当然、形や風味にも個性が出ます。お好みの黒糖を探してみてください」と伊地さんは笑顔で話してくれました。
SDGsにもつながる
「さとうきびはエコな植物」だという宇良さん。「生育しているさとうきびは二酸化炭素を吸収し、搾りかす(バガス)はボイラーの燃料になり、沈殿・ろ過によって出た不純物は畑に散布し肥料にするなど、余すことなくリサイクルできるんです」。それだけでなく、沖縄黒糖は離島で暮らす農家や工場で働く職員たちの収入源ともなっています。
「黒糖によって生活が守られていることをより多くの人に知ってほしいです」と宇良さんは語ります。
最後に、黒糖の日に向けてPRをお願いしました。
「歴史ある産業ですので、これを継続していくためには県民のみなさんが生活の中に黒糖を利用していただくのが一番です。よろしくお願いします」(宇良)
「離島の産業を守っているのが黒糖です。私たち若い世代が率先して黒糖を活用することで、次の世代にも沖縄黒糖を伝えていきたい」(伊地)
さとうきびの刈り入れから出荷の時期は毎年12月~3月。黒糖の日には「新糖」と呼ばれる、その年に収穫されたさとうきびを使った黒糖が並ぶといいます。
「『新糖』はできたてということもあり、香り高く深い味わいになっています」と伊地さんは太鼓判を押します。さっそく明日は黒糖を買いに行こうと思った調査員でした。
5月10日は黒糖の日
場所=サンエー浦添西海岸 パルコシティ 1F マーケットプラザ
時間=10:00~18:00
(2024年5月9日 週刊レキオ掲載)