NY拠点にデザイン界で活躍 県出身の潮平さん、謝敷さん


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「固定観念を捨て、世界を感じてほしい」と語る謝敷宏さん(左)と潮平須賀さん=28日、那覇市の県立博物館・美術館

 県出身の潮平須賀さん、謝敷宏さんが、米ニューヨークを拠点にテキスタイル(生地)デザイン業界でそれぞれ活躍している。謝敷さんはカルバン・クラインのシニアデザイナーを経て独立し、デザイナーとして幅広い事業を展開。潮平さんは有名ファッションブランドGAPやCOACHなどに生地を提供するKatsu・New Yorkの日本支社Katsu・Japanの社長として、日本製の生地を世界に紹介している。

 沖縄の伝統工芸の可能性を信じる2人は、28日に開かれた県の「伝統染織製品の海外展開セミナー」で講演するため一時帰省し「世界に出て現地の嗜好(しこう)を感じてほしい」とデザイナーを目指す若者たちにエールを送った。

 謝敷さんは首里織の人間国宝・故大城志津子さんの下で学んだ後、ミシガン州の大学院で修士号を取得。カルバン・クラインのデザイナーになり、シニアデザイナーとしてネクタイやスカーフ、ハンカチ、傘などのデザインを任された。

 その後、独立した謝敷さんはアート作品の製作に没頭。パブリックスペースのデザインも手掛けるようになり、ヒルトン沖縄北谷リゾートホテルのロビーにも作品を提供した。

 「小さいころから海外に憧れを持っていた」という潮平さんは、女子美術短期大学衣服デザイン科を卒業後、ニューヨークの美術大学に進学。卒業後はグラフィックデザイナーとして就職し、ニューヨークを拠点に活動した。

 出産に伴い、13年間主婦業に専念したが、2007年にKatsu New York営業アシスタントとして復帰した。活躍が認められ、今年から日本支社のKatsu Japanの社長に就任。日本の生地を紹介するオンライン・ショールームを開設し、日本素材を世界に発信している。

 謝敷さんは「沖縄の人は苦境を乗り越える力『レジリアンス』がある。島の中でメンタル的に孤立するのではなく、飛び出てほしい」と話した。

 潮平さんは「沖縄の伝統工芸はどれも歴史や物語がある。デザイナーやバイヤーは物語やロマンスを大事にするので、アピールできる」と強調した上で「固定観念に縛られず、海外の嗜好に合わせることも大事だ」と述べた。