辺野古海上警備、船員法従わず マリン社に改善指導


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、現場海域の警備業務を受注する警備会社マリンセキュリティー(沖縄市泡瀬)が、海上警備を務める従業員の一部を船員法に従い「船員」として雇っていなかったとして、沖縄総合事務局が同社に改善指導をしていたことが分かった。

 船員法は陸上業務に比べて危険である「海上労働の特殊性」(同局)から、船員の保護を目的に、残業代の割り増しや月給制などの賃金体系、手厚い社会保険、労働時間の制限などを定めている。総合事務局船舶船員課は「実態を聞くと海上労働に当たった。船員法の趣旨・目的に合わない状況だったため、5月に口頭で改善指導した」と説明した。

 マリン社は29日、琉球新報の取材に「労働基準監督署の監査時に、担当者は適用外だと説明した」としている。同社の社労士によると、労基署は3月の実地調査で「船の休憩時間が労働時間に該当する」という旨の説明をした際に「調べたところ本件は船員法の適用はない」と発言があった。4月の是正報告打ち合わせ時にマリン社が船員法の適用を確認した際も「船員法は適用できない」と発言があったという。

 一方、沖縄労働基準監督署は同日、「船員かどうかの判断は総合事務局船舶船員課になるため、こちらでは判断できないと伝えたはずだ」と取材に答え、説明が食い違っている。

 総合事務局によると、5トン以上の船舶で海上業務を行う場合、船舶を所有する会社は従業員を船員として雇い入れ、船員手帳の交付手続きを行うといった作業が必要となる。同局が5月中旬にマリン社に聞き取りをしたところ、10隻程度の所有船舶のうち約半数が5トン以上だったため、従業員を船員として雇い入れるよう、同月24日に口頭で改善指導した。

 マリン社は指導を受け、現在は船員法対象の従業員と通常の従業員を精査し、船員手帳の取得などを段階的に進めている。