戦争の悲惨さ 心に 「摩文仁の沖縄戦」 証言と演劇で体感


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糸満市喜屋武の沖縄戦を子どもの視点で演じる比嘉座の比嘉陽花座長

 【糸満】糸満市の摩文仁児童体育施設で6月26日、「戦世ぬ映像とぅ芝居」(主催・比嘉座、すでぃる―Regeneration実行委員会)が催された。地域住民ら約70人が参加し、摩文仁区に関する沖縄戦の証言映像や演劇を鑑賞した。

 沖縄戦当時、摩文仁に撤退した所属部隊が住民が避難していた壕を奪ったことを知り、2015年に摩文仁住民に謝罪した安里祥徳さんの証言映像が上映された。

 映像は糸満市教育委員会が制作したもので、摩文仁区で初めて公開された。

摩文仁区に関する沖縄戦の証言映像に見入る地域住民ら=6月26日、糸満市の摩文仁児童体育施設

 2005年に収録された「しまくとぅばで語る戦世」の摩文仁住民編も上映された。証言者5人のうち、現在も健在のなのは我謝清吉さん(88)と我謝フミさん(89)。当日は2人も会場に足を運んだ。

 後半は演劇集団「比嘉座」の比嘉陽花座長が、糸満市喜屋武の沖縄戦体験を基に創作した「ちゃん」などを上演。喜屋武の子ども・カナーの目を通して見る戦争の様子を喜屋武言葉で演じた。

 演劇を鑑賞した戦争体験者の吉門保雄さん(85)=糸満市=は「私が経験した沖縄戦の様子そのままの劇で苦しい気持ちになった。戦争は勝っても負けてもやるもんじゃない」と語った。

 摩文仁区の平田政明区長(56)は「摩文仁から沖縄戦の発信方法を考える機会になったと思う」と話した。