レスリングの明治杯全日本選抜選手権第2日は24日、東京体育館で男女計9階級が行われ、男子グレコローマンスタイル77キロ級で島袋慶生(浦添工高―日体大出、新潟県レスリング協会)が山田脩(日体大大学院)に7―3でポイント勝ちし、優勝した。同階級の友寄汰志(北部農林高―日体大3年)は3位決定戦で祖父が県出身の島袋希理瑠(国士舘大)に2―3でポイント負けし、4位になった。
女子65キロ級は2022年世界選手権女王の森川美和(ALSOK)が優勝した。東京五輪同62キロ級金メダルの恒村(旧姓川井)友香子(サントリー)は準々決勝で森川に敗れ、3位決定戦は右膝のけがで棄権した。女子の50キロ級は昨年の杭州アジア大会制覇の吉元玲美那(KeePer技研)、68キロ級は18歳の星野レイ(神奈川大)が制した。
男子フリースタイル79キロ級は高橋海大(日体大)、同グレコローマンスタイル72キロ級は清水賢亮(自衛隊)が優勝。大会は非五輪階級の世界選手権(10月・アルバニア)の代表選考会を兼ね、森川、高橋、清水が代表決定プレーオフに勝って出場権を得た。パリ五輪代表は出場しない。
新潟県の東新潟特別支援学校で体育の教員として子どもたちを教える島袋慶生が、少年男子で出場した2014年国体以来の全国制覇を果たした。担任を受け持つクラスの生徒や同僚から「フレー、フレー」と送り出されてきた今大会。「生徒たちにかっこいい姿を見せられた」とうれしそうに話した。
山田脩(日体大大学院)との決勝は作戦勝ちだった。パッシブ(消極的な姿勢)でうつぶせの姿勢になったが、ここで予選リーグのミスを繰り返さなかった。予選では連続で決められたローリングを、肘と膝でスペースをなくすことで1回のみに抑えることに成功した。
残り2分12秒、相手にパッシブが宣告された。「ここで決めようと思っていた」と相手を何度も揺さぶり「技を切られても諦めずにしつこく仕掛け続けた」。ぐるっ、ぐるっと3回転し、一挙に6得点を奪って逆転した。
夕方から高校生を指導した後、自らの練習に励む日々を送る。昨年12月の全日本選手権は準備不足で準決勝敗退。それから肉体強化を主とした週2回のトレーニングや早朝のランニングで体力を付けてきた。「バテずに最後まで戦えた」と手応えを語る。
「今は競技より指導がメイン」と話す島袋。それでも前回3位だった国体(国スポ)優勝へ、衰えを見せるつもりはない。
(古川峻)
友寄逆転を許し3位決定戦敗退
男子グレコローマンスタイル77キロ級の友寄汰志は準決勝で島袋慶生に敗れ、気持ちの切り替えが不十分なまま3位決定戦でも敗れた。「勝たないといけない場面で勝ちきれない」と声を落とした。
攻めて相手のパッシブ(消極的な姿勢への警告)を取り、リフト技で得点を奪うのが友寄の得意なスタイルだ。準決勝、3決は最初にパッシブに持ち込んだが、うつぶせの相手を持ち上げても投げるまでには至らない。
逆に後半にパッシブを取られ、いずれも逆転されてしまった。
「得意技は決まっている」と攻め口をさらに磨いていくつもりだ。8月のインターカレッジに向け「最後に勝ち切る力を付けたい」と優勝を目指す。
(古川峻)