ブエノスアイレス州のチャスコムス市でこのほど、日亜友好八重桜木記念植樹式典が行われた。この式典は日亜友好の象徴として現地日系社会からチャスコムス市に初段階として八重桜2本が寄贈された。チャスコムス市は首都ブエノスアイレスの南南東約110キロにあり、人口約4万5千人、チャスコムス湖東岸に位置する。
この植樹に熱心に取り組んだのは沖縄県系人12人で構成された「移民桜の会」で、特に会長の山城弘美さん(WUBアルゼンチン支部副会長)が率先して協力した。
チャスコムス市の日本との縁は今に始まったことではない。1961年に、ロータリー財団の東京国際大会をきっかけに、ロータリーによって東京とチャスコムス市との兄弟関係を表すために大会の日と同日に桜の植樹式が企画され、東京のロータリークラブから100本の桜の木が贈呈された。現在根付いて残っているのはたった2本。改めて八重桜の木を持って行き、植える計画が始まった。
2017年の6月には200本の八重桜を植える目標で、それが成功したらさらに20年の東京オリンピックに合わせて2020本の植樹を目指す。全て地元日系人らが寄贈する予定。
植樹式典にはチャスコムス市のハビエル・ガストン市長、日本大使館の佐野豪俊公使、吉村一之領事、JICAの武田浩幸所長のほかチャスコムスのロータリークラブ関係者が出席した。
ブエノスアイレス州立チャスコムス陸水生物研究所は1966年に、ぺへレイという淡水魚の卵8万粒を日系団体を通して神奈川県淡水魚増殖試験所に空輸した経緯がある。日本では刺し身や天ぷらなどに利用されている。
またアルゼンチンで80年代ごろから、洪水や乾期の影響でペヘレイが減少したことに伴い、アルゼンチン側からの要請で、2002年から05年にかけて受精卵と増養殖計画の専門家を日本から招き、チャスコムス陸水生物研究所でペヘレイのふ化に成功した。14年には1億余りの幼魚がチャスコムス湖に放流されペヘレイの里帰りが成功した。
ペヘレイが縁でこの日本とのつながりの深いチャスコムス市に次世代を担う子どもたちの未来が、移民たちがアルゼンチンの田舎で植えた八重桜のように花開くことを願っている。
(大城リカルド通信員)