テニス下地・我那覇(沖尚)、重量挙げ棚原(沖工)V 中国高校総体


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 【中国総体取材班】2016年度全国高校総合体育大会「2016情熱疾走 中国総体」は8日、島根県などで行われ、テニス女子ダブルスの下地奈緒・我那覇真子ペア(沖縄尚学)が頂点に立った。県勢のダブルス優勝は、昨年のリュー理沙マリー・西里夏子ペア(同)に続く2年連続の快挙となった。
 重量挙げの105キロ級で棚原幹善(沖縄工)が優勝、105キロ超級で宮城昌義(同)が準優勝した。団体戦で沖縄工が3位に入った。

(左から)下地奈緒、我那覇真子

◆県勢連覇、新たな歴史刻む/下地・我那覇

 気温33度。強い日差しが照り付けるコートへ向かう下地奈緒と我那覇真子(沖縄尚学)。女子ダブルス決勝という全国制覇が懸かる舞台でも2人は笑顔だった。

 しかし、いざ試合が始まると、決勝の独特の雰囲気にのまれていた2人は動きが硬くなり、ミスが多くなっていた。足が動いておらず苦しい思いをしている我那覇に下地が声を掛ける。「強気で行こう」。どんどんネットへ詰め、攻める2人。相手のミスもあり、第1セットを先取する。

 優勝が懸かった第2セット。勝利を意識してか、引いてプレーする場面が見られ、ダブルフォルトやリターンでのミスも目立ち3-5とリードされる。「ミスをなくすことを意識した」(我那覇)と臨んだ第9ゲームからは3ゲーム連続で取り、迎えたマッチポイント。我那覇のサーブに相手のリターンが甘くなり、そこを下地がボレーで決め、勝負を決した。「やっと終わった。ここまで来るのが長かった」。ベンチに戻った下地は涙を浮かべていた。

 平良和己監督は「全国のスピード、ショットのパワーに対応し、パフォーマンスは上がっていった。正直優勝できると思っていなかったのでうれしい」と語った。

 高校からダブルスを組んだ2人。優勝という結果に下地は「自分が引っ張っていくつもりでプレーしていたが、助けてもらったことばかり覚えている。感謝している」と照れくさそうに言う。ことし初めて全国総体に出場した我那覇は「いつも強気で頼れる先輩が隣にいた。感謝しかない」と明るい声。この夏、笑顔でコートに立ち続けた2人が新たな歴史に名前を刻んだ。(屋嘉部長将)

棚原幹善

◆落ち着き、激戦楽しむ/棚原

 棚原幹善(沖縄工3年)が最後の一本で優勝を決めた。ジャークの3本目を迎える直前、坂本(兵庫・三木東)が151キロを成功させて、スナッチと合わせたトータルの重量で逆転されていた。棚原が3本目に挑んだのは151キロだ。体重差で優位に立つため同重量でも成功したら優勝が決まるが、失敗したら2位となる。

 試技台で気合を入れて力強くバーベルを肩に乗せると、「フォームを気にせず」がむしゃらに頭上へ掲げた。勝利を決めて、「最後は挙げるしかないと思った」とうなずいた。

 スナッチ1本目で125キロを成功したが、2本目で130キロを落とすと、大会新記録の133キロに挑んだ3本目も失敗に終わった。「思った以上に(バーベルの下に)潜る形になった」と言うように、いずれも後方にそらした。

 スナッチの後は「落ち込んでいた」と明かすが、「少し眠ったら気持ちが落ち着いた」。ジャークは2本目まで順調に成功させると、勝負を決める最後の一本もしっかり決めて、「すごくワクワクしていた」と激戦を楽しんだようだった。

 コーチとしてリオ五輪に帯同している平良真理監督からは、毎日のように応援メッセージが届いた。「真理先生にも頑張っている自分の姿を見せたかった」とうれしそうに笑った。(平安太一)